過去ログ - とあるミサカのアルバイト
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22: ◆ep89LxT8I.[saga]
2013/11/24(日) 18:11:48.16 ID:AncqGP8+0


場所は変わって黄泉川家のリビング。

「…ミサカ一七六〇〇号が失敗しちゃったってミサカはミサカは衝撃の事実を伝えてみたり!」

「見失ったのか」

「降りたバス停までは分かったんだけどってミサカはミサカはいちおう正義を貫いた姉についてフォローしてみる…」

ひと息ついた一方通行は、それでもイイと思う。
正直彼は妹達を戦力だと考えていない。
むしろ番外個体の『雇い主』とやらが悪人で、それと妹達が不用意に接触してしまうことの方が危険だと感じる。

「じゃあ日を改めてまた追跡してもらうべきかしら?」

「迎えに行けばいいじゃん」

「はァ?」

軽い調子の黄泉川に芳川と一方通行の視線が集まる。

「20時すぎには帰ってくるって言ってたじゃん?時刻表から逆算してその降りたバス停とやらで待ってたらいいじゃんよ」
「それに保護者としてバイト先の店長にあいさつしたっておかしくないじゃん♪」

さすが根っからの問題児好き・黄泉川といったところで、彼女は楽しそうですらある。
ソファーに深く座り、組んだ長い脚がいたずらっぽく揺れている。

芳川はそういうものかしら、と一方通行に視線を送った。
たしかにアンチスキルの目の前で堂々と犯罪行為をする輩は稀だろう。
その点ではいつまでも妹達に追跡させるより安全かもしれない。

黄泉川の身体の横に頭をあずけるようにして可愛らしく寄りかかる打ち止めは、

「はいはい!ミサカも行くーってミサカはミサカは元気よく手を挙げてみたり!」

「あなたはお留守番でしょ」

「芳川と一緒にお風呂済ませて待ってるじゃん」

「ぎゃーすっミサカは番外個体の働いているところがみたいだけなのにってミサカはミサカは突如しおらしい姉を演じてみる」

「嘘ね。一端覧祭前の前科を忘れたとは言わせないわ」

「良い子にしてたらコンビニでアイス買ってくるじゃん」

「ぐぬぅ…ってミサカはミサカはスーパーカップのストロベリーチーズでお願いします…」

「さて、決まったじゃん」

ぱん、と小気味よい音を立てて読んでいた雑誌を閉じると、黄泉川は一方通行にウインクを飛ばした。

「そうと決まったらさっそく出かけるじゃんよ、一方通行」

白羽の矢を立てられた少年は、正直、思考が、追いつかない。
なぜ俺が。番外個体を。オムカエに行く羽目になったのか。

『自分にはそんな家庭的なやりとりは似合わない』
そんな贅沢な悩みが今は出来る。恵まれているのかもしれない。
しかし彼は、ソファーに寝転びながらあの時より高い天井に向かってため息をしぼり出すつぶやく。

「何でこォなった…」



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