23: ◆ep89LxT8I.[saga]
2013/11/24(日) 18:13:01.81 ID:AncqGP8+0
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番外個体が利用するであろうバスの時間より早く出かけた黄泉川と一方通行は、第一五学区でバスを降りて、商業施設で手土産にちょうど良さそうな焼き菓子の詰め合わせを買った。
そして今は、バス停のある通りまで街灯のともる街を歩いている。
「番外個体の職場の話、もっとちゃんと聞いておけばよかったじゃん」
何個入りの焼き菓子を買うか散々悩んでいた黄泉川は、どうやら従業員の規模とか、そういったものを気にしているようだ。
「心配じゃねえのか」
「何が?」
「…番外個体がどンな内容の仕事してンのか」
「あの子なら大丈夫じゃん」
並んで歩く。前をむいた黄泉川の顔には笑みが浮かんでいる。
「私は教師としての経歴はまだまだ長くはないけれど、警備員もやってるからふれあった子供の数の多さだけは自慢できるじゃん。それこそとっ捕まえた不良少年の裁判に付き添ったり、置き去りにされた子供の受け入れ先の施設を探したり…」
「…」
「いろんな子供の表情を知ってるから、経験から私にはわかる。あの子は大丈夫だって。あの子はあの子なりに社会との関わり方を構築している。それはすごく喜ばしいことじゃん」
子供の成長を喜ぶ黄泉川のやわらかい表情に、親を知らない一方通行も確かな母性を感じる。
黄泉川は笑う。
「…それに心配したっていうなら君が暗部にいた時のほうが凄かったじゃんよ〜」
「あんなに四六時中一緒だった打ち止めを置いて連絡もしてこないから、何かしらのトラブルにあったっていうのは分かってたけれど…レベル5の君の情報は一警備員の私には掴めなかったし、ずいぶんヤキモキしたじゃん?」
「…チッ」
そういえば、数か月前は自分自身が心配される立場であったことを客観的に理解して思わず一方通行は舌打ちする。
…悪かった、そう言うべきなのだろうか。
そう彼が珍しく素直な気持ちで考えているところに――――
「…何してんの?」
訝怪な表情を浮かべた番外個体がコートを着て立っていた。
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