過去ログ - とあるミサカのアルバイト
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3: ◆ep89LxT8I.[sage]
2013/11/14(木) 16:48:26.00 ID:BdyMvonl0


「番外個体が何かしらの小遣い稼ぎをしてるのは確かだろォな」
最終的に回鍋肉になった本日の夕飯を囲みながら、取り残された三人は同居の不良少女―――番外個体の直近の動向について意見を交わしている。
「コートもブーツも今まで見たことが無いもンばっか着てやがる」
「あなたってば着眼点が心配性なお父さんみたい…ってミサカはミサカは突然始まったホームドラ、マっ!ぐうぅうう〜」
「お箸持ったままチョップするのは止めなさい危ないでしょ」
それにしても―――と芳川が続ける。
どうやら芳川と一方通行はかなり真面目な話をしようとしているのだ。
それを表情から読み取った利発な少女は、素直に押し黙って本当は全然痛くない頭を所在なげにさする。

「この学園都市で、身分証明書無しで出来るアルバイトなんて一体どんなモノなのかしら」
言葉尻からは皮肉っぽさが滲む。
それはきっと彼女が、この学園都市のどうしようもなく醜い部分を知っているから。
「おそらくまともな商売じゃねェな」
こちらも嘲笑を浮かべて一方通行が返す。

「ロシアでどんな情報を入力されて来たのかしらないけれど、あの子はまだ学園都市を知らなすぎるわ」
「ハッ、アイツがとっ捕まって人質にでもされるってェのか」
「むしろ逆ね。進んで悪事を働きそうだわ。それが怖いのよ」

一歩通行は箸を握ったまま顔を顰めた。
たしかにそうだ。彼女は一般人でもただの善人でもない。
彼女の性質からして、それが愉快であったり有益であれば悪事を行うことも厭わない。
その性質を理解した者に利用されたら。
絶対能力進化実験に関わった膨大な実験施設の数を考えれば、そんな研究者が現れてもおかしくはない。

「もし誰かが妹達やあの子自身の性質を理解して、それを利用しようとしたら。驚くほど甚大な結果が得られるでしょうね」
こういう時に罪を犯す側の視点に無意識に立ってしまうのが芳川の悪い癖だ。
「それに加えてもし他の妹達に直接的な被害がなかったとしても、番外個体の悪い行動が明るみに出れば偏見を受けるのは彼女たちよ」
学園都市産かロシア産かなんて世間にとってはどうでもいいことだわ、と芳川は付け加えた。

―――――もし打ち止めや妹達が将来普通の人間として生きることを願ったとき。

一方通行の自然と険しくなった眼差しを芳川は見つめ返していた。



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