6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/14(木) 19:39:18.02 ID:oOqsUv+5o
ある夜のことだ。
その日は疲れているにも拘らず眠ることが出来ずにいて、ベットの中で何度も寝返りをうっていた。
草木も寝静まる頃合いにようやく眠気が身体を覆いはじめ、ふんわりとした心地に意識も手放そうとした時「亜美、もう寝た?」と真美が聞いてきた。
眠気に支配されかけ返事を返すのも億劫で、寝ていますよの合図の代わりに返事をしないでいると「寝てるよね……」と真美の声が確認するような音を孕んだ。。
はいはい寝ていますよと1つ寝返りをうって間を置かず、隣からしゅるりと布の擦れる音がして甘い声が静かな部屋に静かに漏れだした。
何をしているか分からないなんて訳は当然になく、カァッと体温が上がり、眠気なんてものは何処かへと消え去ってしまった。
口端から漏れ出る音、布が擦れる音、水気を帯びてくる指の音。声に含まれる熱が私の身体をも熱くし、繊細な水音が指の動きの一つ一つまで思い浮かばせる。
私は言うまでもなくドキドキしていた。
「亜美……っ!」
真美の唇が私の名前を紡いだ時も、私の中に生まれたのは共感と喜びと渇望で、嫌悪する気持ちは露一粒ほどもなかった。
自分も真美の手を想って耽ることがあり、真美以上に想える人は未だ居らず、真美とまた触れ合いたかったのだ。
だからこそ、余計に気持ちを抑えつけた。
「ごめん、亜美……」
行為の後の真美の懺悔に続いて私も心の中で懺悔をした。
何の懺悔をしているかは、多分一緒だ。
片割れを想ってしてごめんなさい。片割れを好きでいてごめんなさい。まっとうに成りきれなくてごめんなさい。
私たちはまた錯覚に落ちていた。あの日々のものよりもっと深くて重い錯覚に。
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