過去ログ - 安部菜々「嘘つきうさぎと魔法使いさん」
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◆0vdZGajKfqPb
2013/11/17(日) 12:32:42.76 ID:UAae9uubo
「ファンに愛される、アイドルである必要も。
後輩の目標となるべき、先輩である必要も。
恋する女の子である必要も、ないんです」
「ちひろさん……ちょっと痛い、です……」
「痛いなら、これは夢じゃなくて現実ですよね?
……遊びに来た飲み友達の前でくらい、普通の女の子にならなきゃ、疲れちゃいますよ」
それはひょっとすると、悪魔の囁きだったのかもしれない。
でも、体を包み込む暖かさは、天使に抱きかかえられているようで……抗えない。
「だ、ダメですよちひろさん。そんなに優しくされたら、好きになっちゃう、なんて……」
「いいですよ。私も菜々さんのこと、大好きですから」
軽く茶化してみても、ちひろさんは後ろに回した腕を離してくれなくて。
私は目の端を拭うこともできないまま、しばらくの間泣き続けていた。
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