過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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2013/11/26(火) 06:25:38.30 ID:BVhJwVsq0
最初のチームが呼ばれた。
木戸健太(男子六番)、城ヶ崎麗(男子十番)、朝比奈紗羅(女子一番)、鳴神もみじ(女子十二番)――この面子に、皆は何を思っただろうか。
全員が普段行動を共にしているメンバーなので、仲の良いクラスメイトと一緒のチームになれる可能性がかなり高いのではないか、と、僅かな救いを見出した者もいるかもしれない。
しかし、このチームは、幼い頃から付き合いのある幼馴染3人と、付き合いの短い1人が組まされたバランスの悪いチームとも取れ、つまり1人だけがはみ出し者になるというチーム構成も大いにあり得るかもしれず、自分がそのはみ出し者になってしまった場合にチームメイトと上手くやっていけるのか不安に思うかもしれない。
そして、麗は幼い頃からの付き合いである池ノ坊奨(男子四番)・上野原咲良(女子二番)とはチームを離され、健太も恋人である咲良と別々のチームになり、紗羅も元彼であり現親友の真壁瑠衣斗(男子十六番)と離れることとなったことから、最も懇意である者とは離されてしまっているかもしれないと気が気ではないかもしれない。
そのような分析を脳内でしながら、麗は足元に置かれた自らのスポーツバッグを引っ張り立ち上がった(引っ張り出そうと屈んだ時、視界には田中顕昌(男子十一番)の亡骸が入った。勇気があると認めたのに思わず顔をしかめてしまった)。
教室の左側では健太が怒りを政府の連中にぶつけていたが、紗羅ともみじの言動によって落ち着いたらしく、震えて足元が覚束ないもみじの手を引いて教室の前方に出ようとしているところだった。
最前列にいる紗羅は名残惜しそうにクラスメイトたちを見渡しており、きつめの瞳に涙はないものの、精一杯強がって泣き叫びたいのを堪えていることは誰の目にも明らかで、見ていて胸がずきりと痛んだのは麗だけではないはずだ。
「城ヶ崎君もはよしいやー」
ライド(担当教官)に急かされたことに麗は不機嫌さを表情に表わした。
訳のわからない出会ったばかりの人間に指図されるなんて、不快にしか感じない。
しかし、反抗しようものならあの短気そうなアキヒロ(軍人)や見かけによらず生真面目そうなエツヤ(軍人)が発砲しかねないので、しぶしぶ席を離れることにした。
「城ヶ崎さん…」
消え入りそうな小さな声で名前を呼ばれ、麗は左斜め後方を見た。
高須撫子(女子十番)がじっと麗を見つめていたのだ。
強気でプライドが高く他人とぶつかることも多いので彼女を煙たがる声を聞いたことは一度や二度ではないが、麗や幼馴染の咲良に対しては懐いており、麗から見れば撫子は人付き合いが下手だが仲間想いの良い子だ。
目が吊り上がり気味であるが端正で美しい撫子の表情は今は曇り、その目は涙で潤んでいた。
麗はふっと笑みを浮かべると、撫子の頭にぽんっと手を乗せた。
「撫子…生きろよ」
「城ヶ崎さんも…どうか…ご無事で…ッ」
語尾が震えていた。
撫子とは初等部の頃からの付き合いだが、思えばこれまで撫子が泣くところなど一度も見たことがなかった。
どんなに強気な態度をとっていても、撫子もただの中学3年生の女の子なのだ。
震えて泣いている仲間を置いていかなければならないことに胸が痛む。
「城ヶ崎くーん、はよー。
お気に入りの服にさあ着がえたなら駆け出して!
いや、着がえんでええけども、とにかくはよしてー」
ライドに再び急かされ、麗は名残惜しかったが撫子の頭から手を離した。
前に少しだけ歩き、咲良の隣で足を止めた。
自分を庇って怪我をしてしまった咲良も置いていかなければならないなんて。
麗は咲良の頭を優しく撫でた。
「無茶はするなよ、咲良。
…護ってくれて、ありがとうな」
咲良は小さく首を横に振った。
いつもにこにことした愛らしい笑顔を浮かべて隣にいてくれた咲良。
可愛くて優しくて周りを気遣うことができる欠点らしい欠点のない女の子――そんな子が傍にいて、友情以上の感情を抱かないはずがない。
気が付いた時には、誰よりも特別な、愛しい存在となっていた。
手に入れることはできなかったけれど。
手に入れられなかったどころか、もう、その笑顔が隣にあることも許されない。
最も愛しい女の子は、敵となってしまうのだから。
「麗…くん……
健太くんのこと……」
ああ、やっぱり。
麗が咲良を特別に想うように、咲良は健太を特別に想っている。
そのことをよくわかっているはずなのに、咲良と健太の仲を認めて応援しているはずなのに(何を隠そう、お互い片想いをしていた咲良と健太をくっつけるための最後のひと押しをしたのは、他の誰でもない麗だった)、どうして咲良の想いは自分へ向けられていないのだろうと健太に嫉妬してしまっている。
だけど、この想いに蓋をする。
咲良の心が少しでも軽くなるのなら、自分の気持ちを偽ることだって容易い。
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