過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:37:15.95 ID:BVhJwVsq0
無意識に、手が耳たぶに触れた。
両耳に付けられた黒曜石のシンプルなピアスは今では圭のトレードマークみたいなものだが、これは遼子の見立てで選んだものだった。
中等部1年生の終わり頃、圭は興味本位でピアスの穴を開けた。
この件に関してまず遼子から「横山がピアスとか似合わない」という酷評を受けた。
しかし、たまたま一緒に下校していた時、駅前の天然石のアクセサリー店でセールを行っていたため、折角なのでピアスを買おうと店に入ると、遼子は遼子なりに様々なピアスを手に取って圭のために似合う物を選んでくれた。
圭は赤や青といった目立つ色のピアスを選ぼうとしたのだが、遼子に似合わないと鼻で笑われ、この黒曜石のピアスを渡されたのだ。
黒なんて地味だと思ったが、付けてみると意外と目立っており、周りからの評判も非常に良かった。
腐れ縁だからこそ、遼子は圭に本当に似合う物がわかっていたのだ。
よく周りからは「付き合ってるのか?」と訊かれたけれど、恋愛感情を抱いたことはこれまで一度もない(俺の好みは遼子みたいなキツい女じゃなくて、優しい子だ。上野原咲良(女子二番)なんかストライクど真ん中だったけれど、お近づきになる前に木戸健太(男子六番)に持って行かれてしまった。ちくしょう、健太のヤロウ。中等部入学のくせに上野原をひょいっと掻っ攫って行きやがって。まあ今は2人があまりにも仲睦まじいし、健太が良いヤツなのもわかるから、諦めたけど)。
遼子は、真正面からぶつかることのできる、性別を超えた友人だ。
何となく、これから先も何だかんだで付き合いが続くのだろうと思っていた。
その矢先に、これだ。
腐れ縁はここまでとなった。
…敵になっちまっても、阪本には会っておきたいな。
『腐れ縁もここまでで清々する』って、冗談めかして言ってやりたいな。
阪本が何て言うか想像つくな、『は?そんなのこっちの台詞だし』…だろうな。
いつもみたいにちょっと言い合いして、でも最後にはちゃんと、『今まで色々ありがとう、楽しかった』って言っておきたいな。
「10分経ったなぁ、じゃあ次は9班やな!
男子十三番・原裕一郎君!
男子十八番・横山圭君!
女子十四番・平野南海さん!
女子十八番・室町古都美さん!
新しい世界を探してきてな!」
圭は自分の名前を呼ばれ、顔を上げた。
圭から見て右斜め後方にいる裕一郎の方をばっと見遣ると、裕一郎も目を大きく見開いて圭のことを見ていた。
まさか、裕一郎と同じ班になるとは。
裕一郎も、遼子同様真正面からぶつかることのできる数少ない人物だ。
圭と裕一郎は互いに帝東学院初等部出身なのだが、互いのことを認識したのは中等部1年生で初めて同じクラスになった時だった。
その後部活動見学でも顔を合わせ、互いにサッカー部に入部を希望していたということもあり意気投合し、互いにレギュラーになり全国大会に出ることを誓った。
サッカーの花形と言えば、最前線にいるフォワード――圭も裕一郎も同じポジションを希望していた。
他にも同じポジションを狙っている者は多くいたのだが、誰よりも真面目に真剣にストイックに練習に打ち込む裕一郎の姿に、圭は刺激を受けた。
この先裕一郎とエースストライカーの座を争うことになる――そう直感し、自然と裕一郎のことをライバル視するようになった。
裕一郎も圭をライバル視するようになるのに時間はかからず、2人は足の速さからリフティングの回数から果ては朝練に来る時間の早さと居残り練習の時間の長さまで張り合うようになり、その延長上で部活の時間以外でも様々なことで張り合うようになり、それが喧嘩に発展することも多くなり、周りからは「一緒にいる割に2人はとても仲が悪い」と言われるようになった。
確かにいつも元気でお茶らけていて騒がしい圭と、真面目で無愛想で自分にも他人にも厳しい裕一郎とは性格も全く違うので合わないことが多く、それもぶつかる大きな理由なのだが、互いに心底嫌っているということはない、と圭は思っている。
裕一郎の真面目なところや厳しいところは彼の長所だと思っているし、自分にはないところに魅かれている。
遼子と同じく、しっかりと関わっているからこそぶつかり合うことができるのだ。
とにかく、そんな裕一郎と同じ班になったことは、喜ぶべきことなのかもしれない。
裕一郎から前方に視線を戻す途中、廊下側の窓際の席に座るもう1人の親しい友人、宍貝雄大(男子八番)と目が合った。
雄大は、所構わずぶつかる圭と裕一郎のストッパー役をいつも務めてくれている、2人にとっては兄貴のような男だ。
雄大は小さく笑みを浮かべていたのだが、それはとても悲しげに見えた。
…そっか。
雄大とは、敵同士になるのか…
実感が湧かないけど…
「雄大……今まで、ありがとうな!」
圭は精一杯の笑みを雄大に向け、礼を述べた。
それは顔の筋肉がひくひくと痙攣するのが自覚できる程に無理した笑顔だったが、「こっちこそ、楽しかったよ」と返した雄大の笑みも似たようなものだった。
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