過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:38:29.86 ID:BVhJwVsq0
別れる時まで、雄大は自分と裕一郎の兄貴分だな――いつもと変わらないように振舞ってくれた雄大だけれど、もしかしたらもう会うことはないのかもしれないのだと思うと、目頭が熱くなった。
裕一郎も目に涙はなかったけれど、鼻の頭が真っ赤になっていた。
圭は使い古したスポーツバッグ(サッカー用品大手ブランドのもので、これを初めて持って行った試合でハットトリックを達成した、非常に縁起の良い鞄だ。そのゲン担ぎも、プログラムという法律には敵わなかったのだが)を肩に掛けて、重い足を動かして前に出た。
ちらりと左を見ると、田中顕昌(男子十一番)の亡骸が横たわっているのが見えた。
立ち止り、数秒目を閉じて黙祷を捧げた。
顕昌、あの時のお前、すっげーかっこよかったよ。
目を開き、視線を手前にやると、南海はまだ自分の席に座っていた。
元女子ソフトボール大東亜代表選手を母に持ち自身もソフトボール部に所属する南海は運動能力はクラスの女子の中で誰よりも高く、いつでも快活で騒がしいのだが、今は外ハネのショートヘアの毛先が揺れる程に震えていた。
当然だ、すぐ隣で顕昌が殺害されたのだから。
しかも、南海と顕昌は同じ小学校の出身でありこのクラス内で最も顕昌と付き合いが長かったので、そのショックは相当なもののはずだ。
しかし、このままではいけない。
もたもたしているとアキヒロ(軍人)がまた銃を取り、顕昌の二の舞になりかねない。
「平野、立てるか?
とにかく行こう、俺に掴まって…鞄は俺が持つからさ」
圭はそう言いながら南海の鞄を引っ張り、左肩に掛けた。
ずっと俯いていた南海の顔が上がり、真っ赤に充血した目で圭を捉えた。
「け…圭……」
こんなに震え、弱々しい南海を今まで見たことがない。
南海とは家が近い縁もあり(同じ区画に家があるので、超ご近所だ)、遼子も含めて3人で一緒に寄り道することも多かったので南海とは親しいのだが、これまで元気一杯の様子しか見たことがなかった。
圭の服を掴む手は震え、何とか立ち上がったものの足元が覚束ない状態で、圭が支えていないと倒れてしまいそうだった。
とりあえず、平野は俺が支えて動くしかないか…
エツヤ(軍人)がデイパックを渡してきたのだが、南海と2人分の荷物で手一杯だ。
何とか片手を空けようとするが、南海がしがみついているので上手くいかない。
圭がもたもたしていると、横からすっと手が伸びてきた。
見かねた裕一郎が、圭と南海のデイパックを代わりに受け取ったのだ。
「裕一郎…悪い、結構それ重そうなのに…」
「別に、気にするな。
横山、テメェは平野を支えてろ」
ぶっきらぼうだし無愛想だけれどさり気ない気遣いができる、それが裕一郎だ。
変わらぬ頼れる友人に胸を撫で下ろし、教室内に残るクラスメイトたちを見回した後、圭は南海を連れて教室を出た。
その後ろを、裕一郎と古都美が追った。
南海のことで精一杯だったのでこの時まで気付いていなかったのだが、古都美も南海に負けないくらいに震えており、顔面蒼白となっていた。
大人しく気の弱い古都美にとっても、当然プログラムとは恐ろしいものなのだ。
特に、星崎かれん(女子十六番)と湯浅季莉(女子二十番)というA組ど派手女子ペアにからかわれることのある古都美には、クラスメイトが襲ってくるかもしれないということに対する恐怖心が圭たち以上に大きく膨れ上がっているのかもしれない。
…とにかく、俺と裕一郎がしっかりしなきゃ、だな。
廊下を進みながら振り返り、裕一郎に視線を送った。
その視線で圭が何を言わんとしているのか伝わったようで、裕一郎は大きく頷いた。
サッカーの試合中によく行っていたアイコンタクトでの意思疎通が、まさかこんな場面で役に立つとは思わなかった。
裕一郎と古都美は圭たちの後ろを並んで歩いているのだが、2人の間には会話らしい会話はない。
古都美は同じグループの荻野千世(女子三番)・佐伯華那(女子七番)・鷹城雪美(女子九番)以外と会話を交わすところをほとんど見たことがない位に内気だし、裕一郎は意外にも女子とは目も合わせられないくらいに恥ずかしがり屋なので、それは仕方がないことだが。
ま、それに裕一郎は室町を…
…もしかして政府のヤツら、そこまでわかっててこのチームにしたのか?
…まさかな。
このことを知ってるのは、俺と雄大だけのはずだし。
校舎を出て校門をくぐると、鬱蒼とした森が広がっていた。
既に4チームが外に出ている。
この場所は最後のチームが出発してから20分後に禁止エリアというものに指定され、その時間を超えて滞在していると首輪が爆発するらしいので、この辺りでいつまでももたもたしている班はそうはいないはずだが、既に銃声が響いていることを考えると、無防備に姿を晒したままというのは非常に恐ろしい。
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