過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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2013/11/26(火) 06:43:29.17 ID:BVhJwVsq0
榊原賢吾(男子七番)は目の前で斃れた池ノ坊奨(男子四番)から、先程奨の首から抜いた刀から滴る血液へと視線を移した。
これで、3人目だ。
最初に殺害した川原龍輝(男子五番)もチームメイトの女の子を護ろうとしていたな、とふと思い出し、ずきりと胸が痛んだ。
「奨…くん…奨くん…奨くん、奨くん奨くん奨くん…ッ!!
いや…ッ、起きて、いやあああッ!!!」
上野原咲良(女子二番)が奨に縋り、泣き叫んでいた。
奨の首から噴き出す血液で汚れながら、それでも何とか血を止めようと傷を押さえ、まるで魂を呼び戻そうとするかのように何度も名前を呼んでいた。
咲良の悲鳴は、酷く胸に突き刺さる。
賢吾は無表情で咲良のことを見下ろしているように周りからは見えるかもしれないけれど、少し膝の力を抜けば簡単に崩れ落ちてしまいそうだった。
俺は、何ということをしたのだろう。
俺の所為で、今、上野原が泣いている。
酷く傷付けてしまった――こんな姿、見たくなどなかったのに。
賢吾は、中等部から帝東学院に入学した。
そこに自分の意志があったわけではない、親に指示されたのだ。
賢吾の父親は、表の世界の人間ではない。
知る人ぞ知る、勢力はそれ程ではないけれども裏の世界では恐れられている極道“鷹城組”の若頭だ。
尤も、賢吾はそんな父の稼業を忌み嫌っているし、バーを経営しているために夜な夜な家を空ける母のことも嫌っているのだが。
とにかく、その忌み嫌う父親に言われて、賢吾は帝東学院に入った。
『常にお嬢のお傍にいるように』、という命令を受けていた。
“お嬢”とは、父親が所属している“鷹城組”組長の孫娘である鷹城雪美(女子九番)のことで、賢吾も幼い頃から何度か顔を合わせたことのある同い年の女の子だ。
極道のトップの血筋とは思えない大人しい子で、自分の家のことを良いと思っていないところは賢吾と似ていたので気の合う同級生だと思っていた。
しかし一方で、どこか冷めていて、たまに見せる冷たい表情が恐ろしくもあった。
組長の孫娘の傍に誰かがいた方が良いと思うのは組員としては当然で、それを子どもの賢吾に頼むのは、さすがに大人が四六時中学校で行動を共にすることなど叶わないからという理由だろう。
もちろん、ただの子どもが傍にいて何かの役に立つはずがない。
それでも父親が雪美を気に掛けて賢吾を傍に置こうとしたことには理由があった。
それは、賢吾たちが小学6年生だった時に起こった“ある出来事”。
賢吾がそれを目の当たりにしたわけではないのだが、あの一件以降雪美の奥底には計り知れない冷たい何かが巡っているような気がしていたし、父親が雪美に対して酷く気を配るようになった理由は父親が酒に酔った時に少しだけ言葉を洩らしていたので知っていた。
賢吾の父親が雪美を変えてしまった――それが全てではないにしても、責任の一端は賢吾の父親にあったのだ。
同じ血が流れている賢吾も、責任を感じざるを得なかった。
真面目で律義な性格も手伝っていたけれど、とにかく、雪美の傍にいて支えなければならないという責任感が賢吾にはあった。
3年間雪美と同じクラスになったことはただの偶然だったと思うが、常に雪美の姿が視界に入る生活には多大なる責任感と僅かな息苦しさを感じていた。
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