過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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999:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:54:03.39 ID:BVhJwVsq0
引き金を絞りかけ――顔目掛けて何かが飛んで来たため、手で顔面を庇った。
葉瑠が落ちていた石を投げ付けたのだ。

「優人、それはダメッ!!
 “その2”だッ!!」

“その2”という謎の言葉に、英隆も永佳も眉間に皺を寄せた。
優人はその言葉を聞くと弾かれたように立ち上がり、荷物を掴んだかと思うと、踵を返して駆け出した。
葉瑠を護ろうとしていた優人が、葉瑠をその場に残して逃げ出したのだ。
しかし、呆気にとられている暇などない。
今度は葉瑠がその手に拳銃を握っていたのだ。

「…結局撃つんじゃん、小石川さんだって」

永佳の言葉に、葉瑠は鼻で笑った。

「遠慮なく撃たせてもらうよ、じゃあねッ!!」

言うが早いか、葉瑠は何の躊躇も見せず引き金を引いた。
刹那、英隆たちの視界は完全に奪われた。
正確には、急に視界全てが白く見えるほどに眩しくなり、反射的に目を閉じざるを得なくなった。
葉瑠のものらしき足音が遠ざかっていくのが聞こえるが、とても目が開けられず、その姿を追うことは叶わなかった。
訳がわからないまま、優人と葉瑠は英隆たちの前から姿を消した。
葉瑠が手にしていた銃は、優人に支給されていた偽銃セットの中の1つで、引き金を引くと指を離すまではカメラのフラッシュのような光が点き続ける“閃光銃”(平たく言えば、銃を模した明るすぎる懐中電灯)だということは英隆たちにはわからなかったが、とにかく、逃げられてしまった。

「…逃げられちゃった…か…」

英隆は小さく呟いた。
その声に安堵感が混ざっていたことに自嘲の笑みを浮かべた。
結局直接的に誰の命を奪うこともなかったことにほっとしてしまっている――こんなことではいけないと頭ではわかっているのに。

「…ヒデ」

愛称を呼ばれ、英隆は振り返った。
卓也が今にも泣き出しそうな顔をして、英隆をじっと見つめていた。

「…やっぱ、永佳やヒデに任せて見てるだけ…なんておかしい気がする、俺。
 葉瑠が言ってた通りだよ、ダイと千世ちゃんのこと、俺らみんな加害者だ…
 でもさ、実際手を汚すのと汚さないのは、違うと思う…
 だから、俺…も…その……やっぱ……」

「何ぐだぐだ言ってるの、卓也さん」

しどろもどろになっていた卓也の横にはいつの間にか永佳が立っていた。

「卓也さんにも春川にも邑ちゃんにも、別に期待してない。
 責められて固まったり、泣いたり、吐いたり…マジで邪魔。
 やっぱりあたしが全部やる、あたしは全然平気だし」

永佳はそう吐き捨てるように言うと、しゃがみこんで泣きじゃくっている邑子のもとへと向かい、その前にしゃがむと頭を撫でながら語りかけていた。
その様子を見ていた卓也は大きな溜息を吐いた。


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