過去ログ - 葉隠「10割占い」霧切「後日談よ」
1- 20
933:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/29(金) 08:49:45.37 ID:jdPmmt0K0
雪美が華那たちのことを心から友達だと思っていないことを知っているからこそ、雪美の言葉に顔色一つ変えず答えることができている。
周りの面々は、わけがわからないという様子で見ているというのに。

「か…華那…何言ってんだお前…鷹城も…
 お前ら、ダチじゃないのかよ…いつも一緒にいただろ…?」

問う龍輝の声は震えていたが、答える華那は落ち着いていた。

「違うよ龍くん。
 雪ちゃんは、誰のことも友達だと思ってないんだよ。
 だから、かなも、雪ちゃんを友達だと思って見たことなんて一瞬もない。
 表情も嘘だらけ、言葉も嘘だらけ…そんな子と、友達になれるはずがないもん」

「そうね、華那ちゃんはいつもあたしを警戒してたものね。
 華那ちゃんは本当に頭が良くて物事をしっかり見てるのね。
 華那ちゃんの予想、全部正解、特大の花丸あげたいくらいよ?
 あたし、自分がリーダーだっていうこと以外は本当のことを1つも言ってないわ。
 城ヶ崎くんたちには逃げられちゃったのよ…運動能力の高さは侮れないわね」

くつくつと笑う雪美に対し、華那の後ろで龍輝たちが腰を浮かせるのが見えた。
まあ、ここまでバラしても逃げようとも戦おうともしないのなら、それは非戦論者などではなくただの馬鹿で愚か者だ。

「ありがとう華那ちゃん。
 初めて、華那ちゃんと腹を割って話ができた気がするわ」

「…雪ちゃん、あんまり割ってないじゃん」

「ふふっ…そう、そうね、華那ちゃんはお見通しよね?
 ああ、もっともっと、華那ちゃんとこういうお喋りしたかったわ…
 プログラムなんかに巻き込まれて…本当に残念。
 とてもとても楽しかったわ、本当に、会えてよかった。

 …賢吾、季莉ちゃん」

雪美は視線を賢吾と季莉に移し、笑みを向けた。
その視線と笑顔の意味を、賢吾も季莉も理解していた。
そしてそれは、華那や、龍輝たちですら感じ取ることができていた。

「逃げるぞッ!!」

賢吾と季莉が地面を蹴ったと同時に、龍輝が声を上げながら華那の腕を掴み、悠希は真子の手を引いて雪美たちに背を向けた。
この中で最も運動能力の劣る華那はこけそうになっていたが龍輝にひきずられるように走っていたし、悠希は一度真子を庇って傷を負ったというのに懲りることなくまだ真子を護り続けている。
ああ、なんて、うすら寒い光景。
雪美は「かーなーちゃんっ!」と叫んだ。
龍輝に引きずられていた華那がはっと振り返ったので、雪美は華那が厭っているであろう感情を伴わない笑顔を浮かべてみせた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/439.59 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice