過去ログ - 葉隠「10割占い」霧切「後日談よ」
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984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/29(金) 09:54:19.12 ID:jdPmmt0K0
しかしそれもつかの間、聞こえた独り言に、由梨の希望は打ち砕かれた。

「誰もいない…か、ふぅ…」

それは、由梨が女子の中で恐れている、プログラム対象クラスに選ばれたかもしれないとクラス中が騒いでいたにも拘らず無反応だった不良少女、上総真央(女子4番)だった。

どうしよう…見つかったら…殺される!?
殺さなきゃ…じゃなきゃ…あたしが死んじゃう…っ

脳裏に北斗と早苗の死に様がよぎり、由梨は首を激しく横に振り、ミリタリーポリスのグリップをより一層きつく握った。
あんな目には会いたくない。
怖い。
死にたくない。

自分の息の音が、心臓の鼓動が、とても大きく聞こえる。
聞こえたらどうしよう、そう思うとより一層鼓動が大きくなるようだった。

その時、真央が屈んだ。
ほどけかけた靴紐を直そうとしたのだろう。
真央がふと横を見――由梨と目が合った。

「松田…っ」

真央の表情が驚愕に歪んだ。

殺らなくちゃ…殺される!!

由梨は咄嗟にミリタリーポリスを構え、引き金を絞った。
激しい音が鳴り、梨紗は反動で上がった手をテーブルの上で打った。

放たれた銃弾は真央の美しく染められた金髪を数本引きちぎり、リビングに置いてあった置時計に穴を開けた。

由梨はミリタリーポリスだけを手に、テーブルの下から飛び出した。
銃弾が当たらない、腕が痺れる。
何度も撃つ事に抵抗を感じ、逃げるべきだと咄嗟に判断したのだ。
しばし放心状態だった真央だが、その姿を確認すると、吊り上がった眉をより一層吊り上げた。

「松田、テメェッ!!」

真央が怒号を上げる。

「いやああぁぁぁっ!!」

由梨は悲鳴を上げ、再び真央に銃口を向けた。
当たらなかろうが、腕が痺れようが関係無い。
死ぬよりましだ。

 

ばぁん

 

銃声が鳴り響いた。
しかし、由梨のミリタリーポリスからは硝煙は上がっていない。
引き金も、まだ引かれていない。

由梨は目を大きく見開き、自分の腹部を見た。
紺のベストが、じわじわと黒く染まっていく。
真央に視線を移す。
真央の手には、自分の持つ物と似た物が握られていた。
S&W M36 チーフス・スペシャルという名称を持つ回転式拳銃だが、由梨の知るところではない。

由梨はミリタリーポリスを手放し、その場に膝を付いた。
とてつもない痛みに、腹部を押さえて呻き声を上げた。
足音が聞こえ、真央が近づいてくるのがわかると、由梨は痛みと恐怖に歪んだ顔を上げた。

「痛い…お願い…許してぇ…っ」

ぼろぼろと涙を零す由梨に、真央は美しくも冷え切った笑みを浮かべ、チーフス・スペシャルの銃口を由梨に向けた。


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