1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/19(火) 19:33:32.15 ID:KjSKYEJa0
冬の本番はまだ遠いというのに、この寒さには身が応える。 
  響は体をぶるぶると震わせ、コートを着ながら家を出た。 
  
 「うぅ、寒いぞ。家族を留守番させとくのは正解だったね」 
  
  そう独り言をつぶやきながら、さっさと事務所を目指す。 
 家族とは、響の飼っているペットのことである。基本毎日ハム蔵と一緒に出社しているが、今日はあまりにも外が寒いのでハム蔵は家で休ませることにしたのだ。響の家のペットたちの体調を管理するためにも、エアコンやストーブなど気温の変わるものは危険である。急激に気温が変わると体調を崩す子達が多いので、そこに気を使っているのだ。 
 
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/19(火) 19:34:55.15 ID:KjSKYEJa0
  そんなこんなで、人間の響は部屋にいるととても寒く生きた心地がしない。だからさっさと事務所に行き、オンボロではあるがエアコンのついている場所を目指したのだ。 
  事務所にたどり着いたところで、響の希望は絶たれた。エアコンには故障中の文字が書いてある貼り紙がはってある。 
 だが、それと同時に希望も芽生えた。事務所には代わりにこたつが置いてあり、黄色のサインペンで書かれた『ご自由にどうぞ。温かいですよ』という、おそらく小鳥が書いたであろう文字の書かれた置き紙に気付いたのである。 
  
 「そういうことなら、ご自由に使っちゃうもんね」 
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/19(火) 19:35:26.11 ID:KjSKYEJa0
  
 見ると事務所にはまだ誰もいない。自分が早く来てしまったようだ。こたつの電源を入れ、中に入るとじわじわと温かくなってくる。足だけでは物足りず、肩から下まですっぽりと布の下に入れて丸まった。 
  
 「あぁ、あったかい……」 
  
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2013/11/19(火) 19:35:53.22 ID:KjSKYEJa0
  
  時計を見ると時間は朝の7時。まだ人が来るには早い時間だ。小鳥はもう来ているのだろうか。トイレにいるに違いない。そう思いながら、響はだんだんと現実世界から意識を遠く離していく。 
  まるで母親のような包み込むこたつの温かさに酔ったまま、響はゆっくりと眠りに落ちて行った。 
  
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/19(火) 19:36:25.81 ID:KjSKYEJa0
  目を覚ますと、小鳥の声が聞こえる。 
  
 「え!? 本当ですか?」 
   
  なにやら嬉しそうな表情と声。仰向けに寝転がっていた響には、それが見えたのだ。 
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