過去ログ - 比企谷八幡「だれかが風の中で」
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173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/29(金) 00:58:31.51 ID:hkB3BcTs0
乙ぽ


174: ◆gIYX1xRWqRqj
2013/11/29(金) 21:28:58.63 ID:m7zcTCgHo
投下したいとおもいます。


175: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:29:46.05 ID:m7zcTCgHo
両手いっぱいの紙袋を持って、八幡はいよいよ駅へ到着した。
切符を買って、ホームに入る。

帰郷のための電車は、もう数十分ほどで到着するようだ。
椅子に座る。
以下略



176: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:30:43.40 ID:m7zcTCgHo
せめて昼過ぎまでここにいても良かったかも知れなかったが、もう土産も買って、電車を待つ状態である。
まあ仕方ないかと妥協した瞬間、スマートフォンが振動する。メールだ。

確認すれば、元恩師からのものだった。
体調を気遣いつつ、何時頃に千葉に帰ってくるかを聞いてくる。
以下略



177: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:31:17.99 ID:m7zcTCgHo
そんな殊勝な女だったろうか。
旅行に出ているこの2日の間に、改造手術でも受けたのか。

いつになくしおらしい文面に鳥肌を立てていると、アナウンスが流れる。
もうすぐ電車がくる。


178: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:31:48.76 ID:m7zcTCgHo
ホームに立って、静かに到着を待つ。

日差しもいよいよ強くなり、地面が焼け付いていく。
生ぬるい空気を肺に入れればほのかな緑が匂い、どこまでも青く澄み渡る空を見上げれば、夏への扉がすぐそこにまできているのを感じる。

以下略



179: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:32:34.34 ID:m7zcTCgHo
良い旅だった。
心からそう思う。

いつだって、旅は八幡の心を癒してくれる。
あの頃ならきっと、反感と嫌悪と憎悪を感じていただろう素直な感情だって、今なら受け入れられる。
以下略



180: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:33:07.59 ID:m7zcTCgHo
一人旅を続ける孤独な男の歌に、思いを馳せる。
風のように時に凪ぎ、時に荒れ、時にやさしく、時に激しい、そんな旅路。

けれどもその中では、きっとだれかが待ってくれている。
いつでも、どこかで。
以下略



181: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:34:04.44 ID:m7zcTCgHo
ふと、かつての知人たちを思い浮かべる。
終わりこそ最悪といっていいものだったが、今にして思えば、あの日々は決して悪いものではなかった。

このような考えを抱くようになったこと自体が、高校時代にさんざ人をこき使ってくれた元恩師の思惑通りだという点についてはいささか認めがたいものはあるのだが、それすら含めて感謝している。


182: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:34:30.91 ID:m7zcTCgHo
失敗しても、絶望しても、どん底に落ちても、間違えても。
それでも価値はあったのだと、何度でもやり直せるのだと今なら信じられる。

そんな風に変わった今の自分を、比企谷八幡はきっと、かつての自分と同じくらいに愛している。


183: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/29(金) 21:35:06.80 ID:m7zcTCgHo
ホームから線路を遠く見やれば、電車の灯が見えてくる。

ひとまず旅はこれで終いだ。
数時間後には、変わり映えのない、何よりも素晴らしい日常が待っている。

以下略



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