69: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:35:03.83 ID:nPzos4PSo
意識が水底から引き上がれば、時刻は17時を回ろうかというところだった。
懐から財布を取り出す。
特に変わりはない。
今更ながら少し不用意だったのではないかと反省を覚えつつ、八幡は完全に目を覚ました。
70: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:36:01.58 ID:nPzos4PSo
とりあえず受付で精算を済ませ、外に出る。
辺りはまだ明るいが、夜の気配が漂ってきているのか、空気は湿っぽく、行き交う人の数も目に見えて増えてきている。
混雑がひどくなる前に、宿へ戻ろうと歩き出す。
帰路の途中、小川に沿った道がぼんやりと照っているのが見える。
71: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:36:52.06 ID:nPzos4PSo
旅館の受付でタオルとバスタオルを新調してから部屋に戻れば、もう17時40分を過ぎている。
そろそろ夕食の準備が始まるだろうから、邪魔にならないよう、窓際の椅子に座る。
数時間ぶりにスマートフォンの画面を表示すると、案の定ではあるが、メールが山ほど受信されていた。
その数50。
72: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:37:38.02 ID:nPzos4PSo
海も割れんばかりの美貌を持つ麗しの大天使から1件。
土産など良いからと、無事の帰宅を願ってくれていた。
この世に生まれついて、今まで生きていて良かったと心底思う。
不良娘からも1件、家族皆が食べられるまんじゅうのようなものを頼んでいた。
73: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:38:25.67 ID:nPzos4PSo
常軌の範囲に留まる連中に返事をしていると、夕食の準備が終わった旨が伝えられる。
考えるだけで胃が重くなりそうな連中を相手取る前に腹ごしらえと行こうか。
八幡は事実上の問題の先送りをして、夕食の卓についた。
膳の上に置かれている各種の椀と皿。
74: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:39:01.15 ID:nPzos4PSo
手を合わせいただきますと礼をする。
箸を手にとり、まずは白米を口に運ぶ。
ほかほかの粒がそれぞれ上品な甘味を持ち、それは噛めば噛むほど増していく。
次いで味噌汁を啜れば、薄いながらもはっきりと伝わる味の個性が口いっぱいに広がる。
75: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:40:06.66 ID:nPzos4PSo
漬物をひと切れ食べる。
よく漬かっており、歯ごたえもある。
大きな音を立てて噛む喜びを堪能して、茶を一口含み飲み込む。
小鍋の蓋を開ければ、野菜と肉の塊が湯気を立てて鎮座している。
76: ◆gIYX1xRWqRqj[saga]
2013/11/24(日) 09:40:34.77 ID:nPzos4PSo
刺身はマグロ、エビ、タコの3種類が三切れずつ、ツマの上に置かれている。
マグロを人切れとって醤油に浸す。わさびはあまり好きではないから、醤油だけで食べる。
生臭さをほとんど感じない、鮮烈な瑞々しさを味わう。
醤油の濃い味がほどよく調和している。
77: ◆gIYX1xRWqRqj[sage]
2013/11/24(日) 09:42:02.80 ID:nPzos4PSo
さしあたりここまでです。
次回は本日が終わる前にでもと思います。
ありがとうございました。
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/24(日) 10:02:48.01 ID:JA57NR1C0
乙
79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/24(日) 10:34:25.08 ID:sZv7y7ov0
間空けたほうが読みやすいと思う。
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