20: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2013/11/25(月) 16:09:20.85 ID:s8BdBuhd0
「それじゃ、ミサト。行ってくるわね」
玄関で、制服姿のアスカがそう言った。
「行ってらっしゃい、アスカ」
ミサトがにこやかに笑ってそう返した。
「それじゃ、ミサトさん。行ってきます」
猫の着ぐるみがそう言った。
「うん。行ってらっしゃい。あ、シンジ君。ポカリスエットはちゃんと持った? 熱中症は怖いからね」
「大丈夫です。ちゃんと鞄の中に四本入ってます」
猫の着ぐるみは鞄を軽く持ち上げてそう返す。
「こまめに水分補給するのよ。ヤバイと思った時にはもう遅いんだから。いい?」
「大丈夫ですよ。ミサトさん」
中の人は軽く微笑んだ。ミサトにそれは見えなかったが、口調から何となく察した。
「じゃあ、シンジ……// 行きましょ。途中で転ぶんじゃないわよ」
アスカがそっと猫の着ぐるみの手を握る。その表情にはどこか照れの成分が混ざっており、さながら初デートで初めて手を繋いだカップルの様にも、遊園地で初めてツーショット写真を撮る子供の様にも見えた。
「あんまり早く進まないでよ。下、全く見えないんだから」
猫の着ぐるみはそう返しながら、アスカの誘導に従ってひょこひょこと歩き始めた。その姿はさながら少女と手をつないで歩く猫の着ぐるみだった。
それ以外のものには見えなかった。
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