30: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2013/11/28(木) 16:18:54.02 ID:wnt+OhXy0
例えば、料理。
シンジはアスカが料理を始めた理由を知らない。
アスカはその事について語らない。
彼女の性格上、語れる訳がなかった。
シンジに食べて欲しいから、などと言える訳がなかった。
「うるさいわね。別にアンタに迷惑かけてる訳じゃないからいいでしょ」
アンタには関係ない、とは決して言わない。それが彼女に出来る精一杯の愛情表現だった。だが、シンジはそれに気がつかなかった。
「わかったよ。でも、片付けとかはきちんとやってよ」
少し不満げにシンジはそう返す。
愛情のデッドボール。すれ違いのツーベースヒット。
「言われなくてもそうするわよ! バカッ! あっち行け!」
アスカは声を張り上げてシンジを追い返す。
激情のヒットエンドラン。自己嫌悪の送りバント。
シンジが少し口を尖らせて自分の部屋に去った後、アスカは台所で後悔に包まれていた。
体は着ぐるみに包まれていた。
それを見ていたミサトは「野球はツーアウトからが勝負よ」と言った。「いつかあなたもきっとバク転をする日がやって来るわ」と言って励ました。
アスカには意味がわからなかった。
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