過去ログ - 大和田「安価でハーレム?まだやるのか?」
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141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 08:21:15.35 ID:BVhJwVsq0
プログラム本部のある小中学校から見て南西に位置するF=03エリア。
木々が覆い茂っているのだがこの島の中では比較的標高が高く、夜が明ければ周りを見渡すこともできるであろうこの場所に1つのチームがいた。

時刻は午前4時15分――自分たちの2つ後のチームが出発した頃だ。
今教室に残されているメンバーは最後の1チームで、彼らが出発するのは4時24分、それから20分後にあの小中学校は禁止エリアに指定され、それ以降に侵入すれば首輪に内蔵されているという爆弾が爆発し、ジ・エンドだ。

少女――小石川葉瑠(女子五番)は頭を抱えた。
プログラムだなんてありえない。
全国に何万とあるであろう中学3年生のクラスから年間50クラスが選ばれる、非常に当たる可能性の低い話のはずだったのに。
まさかその50クラスの中に、天下の帝東学院中等部3年A組が入ってしまうなんて。

クラスメイトとの殺し合いだなんて、まっぴらごめんだ。
しかも、あんなにも個性豊かで楽しいクラスが崩壊するなんて、考えたくもない。
どうにかして回避したい。
過去には、プログラムから脱出したという例も数例ニュースで流されているので不可能ではないはずなのだが、何十年と続くプログラムの中でほんの数例しか脱出したケースがないということは、それだけ難易度が高く不可能に近いということも意味している。
本部を襲う?――いやいや、たかが素人の中学3年生が戦闘に関する訓練を受けた軍人たちのいる場所に攻め入るなんて愚行でしかない。
ここは島らしいから海から逃げる?――これも無理。
葉瑠は上まできっちりと締められているジャージのファスナーを少し下ろし(葉瑠はいつも学校指定のえんじ色のジャージを上着代わりに着用している。アイボリーのどこか高級感のあるブレザーがどうも自分の地味な顔には合わなくて嫌いなのだ。ダサかろうが何だろうが、ジャージの方が似合うし安心する)、自分の首元に手を遣った。
無機質な首輪の感触がそこにはあった。
そう、これがある限り、逃げることなんてできるはずがない。

「あぁー…駄目だぁ…
 …誰か、この首輪外す方法ある人ー」

葉瑠は顔を上げ、チームメイトたちを見遣った。

「え、そんなんできるの!?
 こんな物騒なモン、外せるものなら外したいよな、葉瑠ッ!」

最初に反応を見せたのは相葉優人(男子一番)。
青縁の眼鏡を着用している優人は眼鏡の色同様普段はふざけたヤツなのだが、今は顔面は青褪めており、情けないことに葉瑠の袖をずっと握っている。
子どもか、アンタは。
この優人は、誰が見てもわかるくらいあからさまに葉瑠に対してアプローチをしてきている(「葉瑠ー!好きだー!」だなんて、もう誰が聞いても優人があたしのこと好きなのわかるっしょ?)。
それを政府の人間たちは知って同じチームにしたのだろうか。
知っていようがいまいが、優人と同じ班というのはありがたかった。
いつも付き纏ってくるだけのことはあり男子の中で最も気心が知れているのは優人だし、ヘラヘラとしているけれどいざという時の集中力は凄まじく頼りになるのだ。

「…落ち着け、相葉。
 小石川も何か方法がないかどうかを聞いてるだけで、できるとは言っていない」

低く静かな声が優人を諌めた。
野球部の規則のために丸刈りにしてある頭、クラスでは林崎洋海(男子二十番)・池ノ坊奨(男子四番)に次ぐ身長の高さなのだが筋肉質で横幅があるために洋海や奨よりも大柄に見える身体――宍貝雄大(男子八番)だ。
人間観察が大好きな葉瑠なのだが、雄大についての情報はあまりない。
女子と話をするのが苦手なのだろう、ほとんど会話をしたことがないのだ。
しかし、いつも原裕一郎(男子十三番)と横山圭(男子十八番)の衝突を落ち着いて止めている兄貴的存在で、今もプログラムに放り込まれたとは思えない程に落ち着いているように見える。
趣味がイケメンを追いかけることである葉瑠にとってのA組ナンバー1のイケメンである裕一郎(んもう、あの小さいくせにストイックで、仏頂面なのに可愛い物好きで怖がりだなんて、ギャップがホントにたまんないわっ)が信頼を置く人物なので、良い人であることは間違いない。


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