14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/25(月) 23:54:22.29 ID:2LUuHdJ70
「プロデューサー」
「どうした?」
デスクワークに励んでいたこちらに、アナスタシアが駆け寄ってきたかと思うと、ずいと顔を寄せてきて、
「あーにゃんです」
なんとなく上機嫌そうに見える上目づかいでこちらの反応を伺う彼女に、いったい何を求められているのかと首を傾げかけたが、その瞳のさらに上、彼女の頭にある違和感の塊に気がついた。
「………ああ、猫耳を付けたのか。暑さにやられてうわごとを言ったのかと思った」
「Больной-tempered…………」
上目でこちらを睨みつけながらいじける顔に懐かしささえ覚えた。
件のユニットがあんまり引っ張りだこなために、ここの所あまり話していなかった気がする。
「………で、猫耳なんぞ付けてどうした」
会話を続ける姿勢を見せると、彼女はぱあとその表情を明るくして、ずい、とさらにこちらへ身を乗り出すようにして言葉を紡ぐ。
「似合ってますか?」
至近距離から覗く人形のような整った顔立ちの眩さに幾らかたじろぐ。
しばらく見ないうちに、随分と綺麗になったものだ。
喜ばしいことではあるのだが、彼女との距離が離れてしまったようで少しだけ寂しい。
「似合うには似合うが………ぶっちゃけお前は猫ではないな」
「そうですか?」
「ああ。………前川は言わずもがなだし、高峯も自由気ままなところが猫っぽいが、お前に猫要素ない。断じてない」
「あーにゃんです」
「名前だけじゃないか………毛色的にはスフィンクスとかに見えなくもないが、内面がな………」
「Рыба………魚好きです」
「それ前川の前で言うなよ………」
「あーにゃんです。Кот………猫なんです………にゃん」
「取ってつけたように語尾を付けるな」
「猫なんですってば………」
ふんすふんすと鼻息を荒げるアナスタシアに、俺は一つ溜息を吐き、
「………アナスタシア。今度湖のほとりで星が見えるところを見つけたんだ。よければ一緒に行かないか?」
「Действительно!?」
「ほら、喜ぶ姿なんか犬が尻尾振ってるみたいだし。どちらかと言えば犬だ」
「ね、猫です! にゃん!」
「どうしてそんなに猫にこだわるんだお前は………」
「だって………」
「なんだ」
アナスタシアは言い辛そうに視線を右往左往させてから、それでもこちらへ視線を合わせ、
「………猫なら、合法的に下顎を撫でてもらえると、のあさんが………」
「高峯さん? 後でちょっといいですか? ええ、うちのアナスタシアに変な知識を植え付けないでください」
「………にゃん」
「それで誤魔化されるのはあなたのプロデューサーだけですよ」
再度溜息を吐く。
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