過去ログ - ウサミ「狛枝くん、みなさんと仲良くしてくだちゃい」狛枝「えっ」 2周目-2
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2013/11/28(木) 00:50:01.27 ID:/9QyfSIt0
呼ばれた本人藍瀬輝々(男子1番)の表情が強張っていた。彼と一番仲がいい葵輝丹(男子3番)は静かにその様子を見ていた。それは無事を祈るというよりは、ただ何とも思わず見つめているだけのようだった。輝々はぎこちない動きで山梨に近付いた。
兵士がディパックを投げつけていたが、ちゃんと受け止めていた。青達を一瞥してから、教室を出ていく。青は信じたかった。輝々の無事を。みんなの無事を。誰もこんなゲームなんかに乗ったりしないって。
「次、女子1番、淡本綾唯さん」
淡本綾唯(女子1番)も立ち上がる。海原青歌(女子2番)が心配そうに見つめるが、綾唯が視線を変えて青歌に向かって笑みを浮かべた。あれは「大丈夫」という意味だと捉えたらしく、青歌もホッとしたような表情を見せた。それを相野輝己(男子2番)が珍しく物静かな表情で見眺めていたことは誰も知らなかった。ディパックも受け取って、綾唯もそして輝己も青歌も、それぞれ出ていってしまった。
「男子3番葵輝丹君」
輝丹の名前が呼ばれた途端、青は思った。もしも輝丹に乗る気はないというのなら、きっと何とかしてくれるかもしれなかった。何でも知っているには知っているし、もしかしたらこのゲームの脱出だって出来るのかもしれない。そうだったらちょっと希望が持てた。輝丹は誰にも視線を向けることはせずに静かにディパックを受け取って出ていった。
その他、次々と生徒の名が呼ばれ、輝丹みたいに出ていく人もいれば、泣きながら出て行く人もいた。
何らかの紙をある人に渡して出ていく人もいたが、多分待ち合わせる場所を書いたのだろう。できることなら、青木はる(男子4番)に渡せばよかったと少し後悔した。
「次、男子10番、静木青君」
自分の名前が呼ばれて、顔を上げた。他のクラスメイトの視線が痛いが、仕方なかった。数日前まで仲がよかった人達が突然殺し合いというくだらないゲームに放り込まれて、疑わないわけにはいかないのだから。けど、それでもちょっとでも疑ったら政府の思う壺だったこと、みんなはきっとわかっているはずなのだ。そこまで頭が回らない人はこのクラスにいない、と信じようとした。
立ち上がって、山梨の所へと一歩ずつ近付いていく。途中で横たわっている青名静(女子9番)の死体から漂う血の匂いに目を顰めた。静はよく友達と話して笑っていた。きっと、将来の夢もあっただろうに。青はディパックを受け取りつつ、俯いた。兵士が自分に銃を向けているのが空気で何となく感じとれた。
「静木君、さっさと行って下さい」
山梨が冷たい声で少し短く怒鳴った。青は少しだけ怯んで扉の方へと歩く。後ろの方を見た。これで最後かもしれない。もう二度と会えないかもしれないと実感した。ふと、中居螢太(男子16番)と、月下香介(男子19番)がこちらを見ているのに気付いた。二人共、笑っていた。それが、大丈夫。俺達はそんなことしないって言ってくれているような気がして、青も微笑んだ。
大丈夫。
僕も絶対傷つけるようなことはしない。
大丈夫。
みんなきっと無事でいられる。
ずっと此処にいては、射殺されそうなので教室を出た。もう少し歩いたら、階段を登って少し歩けば、出口が見えてくる。そして、出た時点でもうゲームは開始される。誰かと誰かが殺しあったりしなければならない。傷つくだけのゲームを、すぐにでも終わらせて、一人でも死なないように。首輪がどうだろうとその前に行動を起こせば少しはマシだ。
脱出できる方法を、組み立てなきゃ。
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