26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/01(日) 19:50:44.28 ID:j4MC2eqco
降り立った場所、あの子が暮らす家の屋根の上で、私は周りを一瞥する。
半分ほど落ちた陽が、木々や家の影を長く伸ばして、世界を黄金色と黒の二色に染め上げていた。
その中に混じる、白色の異物。
世界の歪みを正すための存在。
二度の改変を受けた世界が遣わした、人々の負の感情を吸って具現するモノ。
魔獣。
標的は、まどか。
世界を変えてしまい、本来なら概念として昇華したはずが、私の手によって落とされたため、今はただの人間である彼女。
魔獣からすれば、これほど分かりやすい標的もないのだろう。
そして。
「私は悪魔。世界の理を乱し、蹂躙するモノ」
「あなたたちを理の存在だとするなら、私が敵対するのは当たり前よね」
「いらっしゃい。残らずこの手で滅ぼしてあげる」
この瞬間だけは、私が私であると、心の底から実感できる。
ああ、なんて楽しいのだろう。
信念のままに、破壊を振り撒くのは――――
翼を広げて、想いの向かうままに力を爆発させる。
黒い奔流は逆巻きながら、あの子の暮らす場所だけを無風にして、魔獣を飲み込み噛み砕いていく。
中に居るあの子は何も気付かない。
どうか、そのままで。
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