20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/05(木) 00:09:14.76 ID:My2ZDWWTo
「それで、俺に何とかしてほしい、ということか」
「そういうことッ」
別段難しい話ではないので答えてやると、渚は先程とは打って変わってはっきりと言葉を返してみせた。
「まあそういう事なら、プロデューサーとして見逃す訳にもいかないんだが……渚では駄目だったのか?」
渚と翠。
共通項目といえば、スポーツをしている事――尤も、弓道をスポーツとするかどうかは異論があって当然だが――、そして同じ愛知県出身であることだ。
性格は真反対だし、これまで際立って仲良くしていたという話も聞かない。
ともすれば、どうして渚はここまで翠に執心するのだろうか。
取ってつけたような理由ならいくらでも思い浮かぶが、きっと彼女の中には、もっと別の何かがあるに違いない。
しかし、それを察するには少し情報が足りないようであった。
「出来る限りはしたけど……翠だからさ、やっぱプロデューサーじゃないとダメかなって思うんだッ」
確かにプロデューサーという立場上、悩みの種を解消してやることが本場といえば本場だが、果たして俺が出ることが最良の答えなのだろうか。
こういう職に付いているとはいえ、所詮彼女は女性で俺は男性。悩むにしても、他に適任が居るようにも思うが……。
「うーむ、まあそう言われちゃ動かない訳には行かないな……わかった。少し翠に話をしてみるよ」
雰囲気を察したのか、向こうの方ではひと通りの撮影が終わって次の衣装の切り替えに入ろうか、という声が出てき始めていた。
「ともかく、渚は戻れ。後は俺が何とかするから」
そろそろ撮影していたアイドルも戻って来るし次の指示も出さなければならないのだから、渚とずっと話している訳には行かない。
きりよく訪れたタイミングで、ひとまず会話を区切らせることにした。
決して彼女たちの事を邪険に扱うつもりはないが、状況が状況なのだ、仕方あるまい。
「ありがと、よろしくッ! 仕事の邪魔してゴメンね、じゃッ!」
最後の最後、渚は元気よくお礼を言って、颯爽とこの場を立ち去っていった。
外はもう寒いだろうに、全くもって元気な子である。
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