24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/05(木) 00:11:20.03 ID:My2ZDWWTo
「さあ、話してくれるか」
街中で見かけた店でホットドリンクを購入し、体を暖めながら歩き続ける。
落ち着いた所で話すのも良いかと思ったが、面と向かって話し合うのも何だか問い詰めているようで好ましくないので、道すがら問いかけることにした。
「何を悩んでいるのか、でしょうか」
手袋越しに暖かな容器を両手で包み、はあ、と白い息を吐いた。
「……はっきり言えば、もう解決しました」
「え?」
素の声が出たような気がする。
おかしな話である。
渚からは悩みを解消してほしいとの事だったはずだ。
それなのに、一言もその件に触れずに解決してしまったということなのだろうか?
交代するように困惑する俺の表情を見て、翠はまたもや笑う。
「みんなが助けてくれました。……良い所ですね、あの場所は」
そう言って温もりを持つ飲み物を口に含んだ。
……つまり、渚に頼まれてから今までの間に、アイドルの誰かが何らかのアクションを起こしたという事なのだろう。
「なんだ、そういうことだったのか……」
俺もつられて苦笑する。
生まれた時、親の存在がなければ子は何も出来ない。
何も力を持たず、何も知識を持たぬ子なのだから、至極当然の話である。
しかし、もはや彼女たちは違う。
子は子を助け、親をも思う。
助けた、助けられたという関係は、決して上下に起因するものではなくなったということなのだ。
それは事務所として、確固たるつながりを持った証。
誰がそうしたのか推し量ることは出来ないが、確実に困っている人を助ける事のできる子が事務所に居る。
そういう存在が、事務所をよりより場所にしてくれるに違いない。
価値が薄くなった親として、俺はそれを誇りに思いたい。
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