6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/04(水) 23:53:23.78 ID:klBBGptUo
*
――レッスンルーム
晶葉「――愚問だな」
翠「…え?」
晶葉「先が見えない、失敗が怖いから歩きたくない、そういうことだろう?」フン
翠「そんな、決して失敗が怖いわけでは――」
晶葉「エラーだな。矛盾しているではないか」
翠「……どういうことでしょうか?」
晶葉「誰だって歩けば転ぶ、それが当たり前なのだ。なのに翠は進むという言葉とは裏腹に前を向くことに迷いを感じている。……私はロボット制作に関しては天才を自認しているが、何もこの世に誕生してからずっとそうだった訳ではない」
翠「……」
晶葉「アイドルだってそうだ。まだまだ未知の世界に居る私は、程々に失敗をしているさ。――それこそ、私がロボットを作り始めた時のようにな」
翠「それでも…どうしてそんなに強く居られるのですか?」
晶葉「楽しいからだよ。助手と出会って、新しい世界を見出してくれた。根源がどうであれ、それは私自身の逢着でもあるし、開発への新たなフィードバック対象でもある」
翠「新しい、世界…」
晶葉「翠はアイドルが楽しくないのか?」
翠「いえ、そんなこと! Pさんに出会って、本当に楽しく仕事をさせて頂いてます」
晶葉「ならそれでいいではないか。トップアイドルという最終目標があろうが、それまでにフロチャート無しに進むわけではないのだ。ストロークに多少『遊び』があってもいいだろう?」
翠「……そんな風に考えたことはありませんでした」
晶葉「そうは言うが、翠はきちんと我々の目指すべき場所を認識している。長いプロセスを経る上でこれほど重要な事は他にない。卑屈になることはないさ」
翠「…ありがとうございます。少し気分が晴れました」
晶葉「迷いはいずれ思考の多角化に繋がる。悩むというシチュエーションは電脳における一つの大課題だが……面白い。翠は助手のようにまっすぐだが、それでいて――いや、それだから悩むのか。どうだ、一つ私のロボット制作に手を貸してはくれまいか?」
翠「ロボットに、ですか? …ふふ、面白そうですね。私で良ければお手伝いしますよ」
晶葉「それは助かるな。でも、その前に他の人にも同じく訊いてみるといい」
翠「他の人にも?」
晶葉「ああ、そうだ。私がマイノリティである可能性もあるからな。人の感情や意見を総合するなら、統計が一番有効なアプローチだぞ?」
翠「……なんだか、晶葉さんのロボットになった気分です」クス
晶葉「面白い冗談だな……いや、私が助手と同じ立場になるのも面白いかもしれないな、はは!」
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