4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/05(木) 00:09:34.60 ID:orgbAKWn0
「ん……」
頭の上に伸ばした手が、つい先程までけたたましく鳴っていたであろう目覚ましのスイッチから離れた。
揺らめくカーテンの隙間から射し込む朝日に、小さく呻き声をあげて身をよじりながら薄っすらと目を開けると
飾り気の無い、いつもの見慣れた自分の部屋が瞳に映る。
起きなくてはならないのに、やたら鮮明に残った夢の余韻が、次の行動を阻害していた。
草原で二人の知らない少女に逢う夢。
(……変な夢だったな)
しばらく寝ぼけた頭で、その不思議な夢を何度も反芻した後
先端を紫のリボンで結んだ長い三つ編みがシーツの上を滑る音と共に
まだ眠たい目をこすりながらようやく上体を起こす。
(でも……)
指先を頬にあてる。涙の跡の乾いた感触が二本の指へと触れる。
それはさっきまで見ていた夢の名残で、昂ぶった感情の残滓。
「……なんだかとても、悲しい夢」
暗い室内を照らす朝の柔らかな陽射しを背中に感じながら
無造作に置いてある机の上の赤い眼鏡ケースを手に取って
暁美ほむらは静かに呟いた。
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