38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/14(土) 18:47:55.14 ID:noXp+5Yqo
「……」
僕の質問に、それまで動いていた彼女の動きが止まり、まるで世界のすべてが止まってしまったかのように。
時計の針だけがただ世界の進行を告げていた。
僕はただ祈る。
答えろ、答えるな、答えてくれ、聞きたくない。
「……せんぱい、は」
ゆっくりと紡がれた彼女の声は、いつもと違ってなんだか揺れるようで。
感情の見えない視線が僕へと向けられる。
「……どこだと、思います……?」
両腕をベッドに付けた体勢で、ローアングルから覗き込むように。
彼女の顔がゆっくりと近づいてくる。
ここまで近づいても、見えない彼女の表情。
指でそっと払いのければ、見えるはずのそれを。
見たくて、見たくなくて、分からなくて。
生まれて初めて、僕は女の子に触れた。
だけどそれは、優しい触れ合いなどではなく。
「……ぁうっ」
よろめいた彼女の両腕が、ベッドの後方へと着地した。
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