39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:47:23.55 ID:gLkbd9Kt0
「あー……、コレ、買おうとしてたんだけどお金なくて」
私は苦笑を浮かべて言った。ちゃんといつも通りに振るまえているだろうか。
だいぶ落ちついてきたけれど、また腕の痛みがぶりかえしてきた。
「仕方のない子」
お母さんは笑いながら言うと、私の持つカゴを取り上げた。
けっきょくお母さんのお金ではらい、(もちろん後で返してもらうつもりだったけど)私たちはコンビニを出た。
そういえば、お母さんの隣を歩くのは久しぶりだな。最近まともに話もしていなかった。
会社帰りの服でコンビニぶくろをぶら下げ鼻歌をうたいながら歩く母の姿に、私の心はすっかり安らいだ。
いつもそうだ。普段、全く会わないということもあるのだろうけど、(母も父も帰りは私が眠ってから、家を出るのは私が起きる前だからだ)
こうやって何かあるとそばに居てくれる。私が何を言うでもなく、たまたまなのだろうけど。
何も会話がなくっても、少し音の外れた歌と母のまとう暖かな空気だけで十分だった。
もう少しで家だというところで、私は公園の前に立つ人影に気付いて立ち止まった。
お母さんも気付いたようで私を見た。
「知り合い?」
「うん、まあ……」
私はあいまいにうなずく。
その人はペコリ、とお母さんに頭を下げた。
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