5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/12/07(土) 00:21:16.76 ID:gLkbd9Kt0
チョークが黒板に字を連ねる音。先生の声、生徒の私語。
昼休みが終わった後の教室は汗くさい。時計の進む音が心なしかいつもよりおそい。
頬づえをつき、外を眺める。どこかのクラスの体育の授業を見るのにも飽きて、すずしい風の入ってくる窓ぎわの後ろの席で私は顔を伏せた。
「……あの人」
そして今朝見たあの女生徒のことを思い出す。
そんなはずない、と思いながらも、もしかして、と思ってしまう。
彼女はあの日、私の前から消えてしまったあの子なんじゃないか、と。
『はやせちゃん、遊ぼう』
いつも独りだった私に唯、独り、声をかけてくれたのはあの子だった。
確か同い年か1つか2つ上だった気がする。私もあの子も、普段は独りだった。だから私たちはそれをうめるかのように常に一緒にいた。
そう、あの日までは。
『ねえ、知ってる?あの子、変なチカラ、持ってるんだって』
『近付いちゃダメよ、あんな化けモノみたいな子!』
いつのまにか、インフルエンザみたいに広がっていたうわさ。
『はやせ、あなた、あの子と仲良しなんですって?あんな子とはさっさと縁をきっちゃいなさい!』
気味わるがられるあの子。
私もいつのまにか離れて行った。
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