28:1[saga]
2013/12/08(日) 09:48:08.36 ID:OWwQizcX0
「長かった」 きっと、他の人が聞いたら何が何だか解らない言葉。
だけど、私たちにとっては、その一言で全てが伝わる言葉。
29:1[saga]
2013/12/08(日) 09:48:36.13 ID:OWwQizcX0
私が来た方向とはまた違う方向へと歩いていく春香を見送る。
車でも待たせているんだろう。 きっと、仕事の合間に立ち寄ったに違いない。
忙しいと言っていたにも関わらず、とても献身的だと思う。
30:1[saga]
2013/12/08(日) 09:49:07.79 ID:OWwQizcX0
「さてと…………」
31:1[saga]
2013/12/08(日) 09:49:42.18 ID:OWwQizcX0
・ ・ ・ ・ ・
春香と別れてから数分もしないうちに目的地に着いた。
やはり、こんな季節にここに来る人は少ないのだろう、人っ子一人居やしない。
32:1[saga]
2013/12/08(日) 09:50:13.50 ID:OWwQizcX0
何十段にも重ねられた、打ちっぱなしのコンクリートで出来た階段をコツコツと登っていく。
もうここまで来たら、足に溜まった疲労感も頭の中から消えていた。
一段、また一段と登っていく度に、心臓がドクドクと波打つ。
この私が緊張だなんて、らしくないわね。 なんて虚言を心の内で吐いてみる。
33:1[saga]
2013/12/08(日) 09:50:46.79 ID:OWwQizcX0
「………………久しぶりね」
34:1[saga]
2013/12/08(日) 09:51:14.09 ID:OWwQizcX0
そう、"アイツ"、もとい765プロダクションプロデューサーの彼は、既にこの世を旅立っていた。
35:1[saga]
2013/12/08(日) 09:51:46.83 ID:OWwQizcX0
「やっと、会いに来れたわ。 踏ん切りがついたってヤツかしらね」
「アンタも、この私に会えなくて寂しかったんじゃないの?」
36:1[saga]
2013/12/08(日) 09:52:21.34 ID:OWwQizcX0
「いつかのアンタみたいに、バカ正直に下げなくても良い頭下げたりするヤツや」
37:1[saga]
2013/12/08(日) 09:53:06.10 ID:OWwQizcX0
「辺りを見回したら、様々な所に散らばってたの、アンタの欠けらが。 いいえ、多分私が見ようとしなかっただけなのかも」
38:1[saga]
2013/12/08(日) 09:53:32.32 ID:OWwQizcX0
「………………今日は、これだけ。 これだけ、言いに来たの」
47Res/25.33 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。