157: ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2013/12/25(水) 02:21:08.97 ID:aHxUVDzso
「……物語の楽しみ方の一つは『自己投影』。で間違いなかっただろうか?」
その質問は明らかに自分に向けてのものと理解できた。
「……そうね」
「お前は『第三者』として、俺の話を聴いた。だが、『俺に自己投影もできる』、どうだろうか?」
「できるわ、痛いくらいに」
「ならば今やってみろ、俺が今の俺になった理由の一つがわかるぞ」
「そう」
それはなんとなく解っていた。他者に手を差し伸ばしたい、安らかに生きていたい、正義と関わっていたい、夢を持っていたい、楽しみたい。それらは『欲求』として、自分達人間から湧き出る、否定しようのない事実。それらが生きるための性であるのなら。それらを守るために働く性もある。
「なにか言い残すことはあるか?」
「ふざけるな!お前さえいなければ全てがうまくいっていたというのにっ!呪われろ!この殺人鬼めがっ!」
自分がしたことを棚にあげ、死者まで貶めた外道をしたというのに、それでも人を呪う父の姿は醜悪以外の何者でもなかった。これでは、もはや『おじさん』に自己投影するまでもない。
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