66: ◆nlCx7YJs2Q[saga]
2013/12/15(日) 23:52:28.69 ID:wnMXA603o
・・・・・・・・・ ・ ・ ・
六日後の大晦日、彼女は冷たくなっていた
「差し伸べられた手を振り払ったのね」
それが彼女の望みだった
「そうね」
彼女は笑って死んでいた
希望に満ちていたのだろう
彼女の言葉通りに
『死』という、最後の希望に
「いいえ、違うと思うわ」
何故だろうか?
「おじさんが言ったのではないかしら。『生物である以上『生きたいと言う感情』は切り離せない』と」
言った
だが彼女は『死にたいという理性を持ち合わせるのは人間の特権』だと言っていた
「それは、違うわ」
何故だろうか?
「生きたいと思う感情を切り離す理由になっていないもの」
ほう?
「つまり『死にたい』と思っている最奥で、『生きたい』と思っていることを否定できていない」
成程
「彼女は欺瞞に満ちていたの」
つまり彼女は
「ええ、『絶望していた』の」
絶望して、『自分が自分であることを拒否していた』
「そうね、そして本当は自分自身が『死ぬことを拒否していることに気付いていなかった』」
そして『死のうとしている自分こそが自分自身だと誤認していた』
「まさしく『絶望』ね」
そうか
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