過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
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以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/05(水) 04:53:00.12 ID:peHDovB80
「わ…わかって…ました…そんなこと…!!
真壁さんにわかって、私がわからないわけ…ないじゃないですか…ッ!!」
大人しく話を聞いていた撫子が、絞り出すように声を上げた。
先程までの怒りと憎悪に満ちた表情はそこにはなく、見るだけで胸を突き刺された痛みを憶えるような、悲痛なものだった。
「でも…貴女たちが裏切った…そう思う方が簡単だったんです…!!
目の前に城ヶ崎さんを殺めた人がいるのに…憎むことができない…
悪くないってわかってるからこそ…どうすればいいのかわからない…
私のこのぐちゃぐちゃな気持ちは…どこに向ければいいのですか…ッ!!」
先程まで争っていた紗羅が、撫子に抱き付いた。
普段から言い争うことが多かった相手にそのような行動をされたことに撫子は大いに驚いたようだったが、やがて、紗羅の華奢な肩に顔を押し付け、泣きじゃくった。
麗の顔を覗き込んだ時、麗は灯台の壁を大いに汚す程の出血を伴う傷を負いながら、仲間に止めを刺されながら、とても穏やかに笑っていた。
外面は超俺様気質なのに本当は仲間を大切に想う麗のこと、きっと最期の瞬間まで仲間の身を案じ、仲間の未来を願い、息絶えたのだろう。
一方で、恐らく、皆が自分のことでここまで絶望のどん底に突き落とされることなど、考えていなかっただろう。
馬鹿だね、城ヶ崎。
君は、君が思う以上に僕らにとっては大きな存在で…
僕らは君が思う以上に君を中心として回っていたというのに…
君が誰よりもそれを知らなかったんだ。
君は、誰を犠牲にしたとしても、誰よりも、生き残らないといけない人だったんだ。
でもそうはできなかった君は、馬鹿で愚かで…
…そんな君だから、僕らは惹かれたんだ。
「くっそ……アイツら……」
皆の嗚咽の中、健太が小さく呻いた。
瑠衣斗に比べれば一回り小さな拳が、地面を何度も殴っていた。
「元はといえば…アイツらがこんな馬鹿げたことに乗ったから…!!
次会ったら…ぶっ飛ばしてやる…ッ!!」
「…木戸……“アイツら”って……」
「奨もやられたんでしょ…賢吾に、賢吾たちに」
瑠衣斗の疑問に答えたのは紗羅だった。
その答えは、瑠衣斗たちを驚愕させるのには十分過ぎた。
賢吾――榊原賢吾(男子七番)。
奨を喪った時の光景が、鷹城雪美(女子九番)の冷徹な表情と声が頭を過り、瑠衣斗はぶるっと体を震わせた。
麗が死を選択せざるを得なかった原因を作りだしたのは、賢吾たち。
まさか、奨だけでなく麗までもがその手に掛かってしまっただなんて。
そこまで考え、瑠衣斗はばっと振り返った。
瑠衣斗の胸に顔を埋めていたもみじが、瑠衣斗が動いたと同時に体を引っ張られ、驚いて顔を上げたが、それどころではなかった。
瑠衣斗が視線を向けた先、そこには誰もいなかった。
先程まで、周りの騒ぎが聞こえていないかのように一言も発せず微動だにせずに膝を付いて麗を見つめていた、咲良の姿がなかった。
慌てて辺りを見回し――目を見開いた。
「木戸、止めろッ!!!」
瑠衣斗は言い放ちながら、自らも動いた。
突如呼ばれた健太は鳩が豆鉄砲食らったような表情を浮かべたが、瑠衣斗の指差した先に視線を向けるや否や、大声を上げて地面を蹴った。
その声を聞いた紗羅と撫子が気付いて悲鳴を上げ、もみじも泣き叫んだ。
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