過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
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以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/05(水) 05:07:46.90 ID:peHDovB80
辺りは木々に括り付けられた頼りない電球と月の光以外に光源はないので仄暗いのだが、それ以上に空気が重々しく、喩えるなら重油をぶち撒けたような重い暗さが辺りを包んでいるような状況だった。
真壁瑠衣斗(男子十六番)は木の幹に背中を預け、ぼんやりと闇の先を見ていた。
右手は地面に置いたボウガンの上に置かれていたが、とても今は掴める状態ではない――身体から全ての力が抜けてしまったかのようで、頭も酷く重い。
向かいに座っているチームメイトである高須撫子(女子十番)は、プログラムという命を懸けた戦場においても「地面に直に座ることなんてできない」と主張し、地面にタオルを敷きその上に腰を下ろしていた。
いつも強気で、初等部出身者ではない瑠衣斗に対しては“庶民”と揶揄してきた撫子だが、今の姿からはそのような威勢の良さは感じられなかった。
膝を抱えて時折鼻を啜り泣いているかと思えば、苛立たしげに髪に手を突っ込んで掻き回し唸り声を上げていた。
その隣で横になっている上野原咲良(女子二番)も、少し前までは泣きながら自分を責めて何度も謝罪の言葉を発し、その度に撫子の支給武器である短刀に掴み掛って自らを傷付けようとし、撫子と二人掛かりでそれを止めた。
今は泣き疲れたのか眠っているので、その心配はなさそうだが。
撫子が情緒不安定になっているのは、咲良の状態がこのようであるからだろう。
池ノ坊奨(男子四番)を失ったことで瑠衣斗たちが受けた精神的ダメージは、とても大きいものだった。
正直、瑠衣斗は奨とそこまで深く関わったことがないどころか会話だってまともに交わしたことがない。
しかし、いつも城ヶ崎麗(男子十番)の傍に控え、麗が楽しそうにしている様子を見守っている光景を思い出すと、込み上げてくるものがあった。
城ヶ崎…大丈夫だろうか…
放送を聞いて、きっとショックだっただろうな…
変なことになっていなければいいんだけれど…
咲良のように目の前で奨が死亡する瞬間を見ていないにしても、麗も付き合いの長い幼馴染の名前が放送で呼ばれたのだから、相当ショックを受けているだろう。
泣き喚く姿が想像できない――全てに恵まれた環境で育ってきた麗にとって、きっと何かを失う経験なんてこれが初めてだろうから、一層心配になる。
ショックを受ける耐性がないのだから、どのような行動に出るか想像ができない。
傍にいるはずの木戸健太(男子六番)と朝比奈紗羅(女子一番)は頭に血が昇りやすいタイプで、鳴神もみじ(女子十二番)は怒りより悲しみに暮れるタイプだろうけれど周りの人間の行動を抑え込む力はない。
揃いも揃って変な行動を起こしていなければいいのだが。
だけど――瑠衣斗は溜息を吐いた。
麗たちのことは心配なのだけれども、正直あちらの様子を心配できる余裕はない。
幼馴染の奨を目の前で失った上に、鷹城雪美(女子九番)に『あなたのこと、世界で一番大嫌いなの、それこそ殺したい程に』と言われた咲良の精神的ショックは誰よりも大きい。
小学生の頃周りから疎まれていた瑠衣斗とは違い、咲良はこれまで周りに愛されてきただろうから、誰かにそこまで嫌われたことなどなかったはずだ。
嫌いと言われただけでも相当ショックだろうに、奨は自分のせいで命を落としたと責任を感じており、瑠衣斗や撫子がどれだけ違うと言っても咲良は聞かなかった。
目を覚ませば、きっとまた自分を傷付けようとするのだろう。
咲良がそのような行動を取れば取る程、撫子が疲弊していくのも見て取れる。
瑠衣斗が思っていた以上に、撫子は咲良に心酔しているらしい。
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