過去ログ - 日向「信じて送り出した七海が」狛枝「2スレ目かな」
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以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/05(水) 05:08:24.93 ID:peHDovB80
瑠衣斗は決して小柄ではないのだが、女子の中では荻野千世(女子三番)に次いで背丈のある咲良とはほぼ同じ体格の上、体力面では情けないことに咲良が上回っているので、これは決して容易ではなかった。
「落ち着いて、上野原は何も悪くないって何度言えばわかるんだ…ッ!!」
「違うの、あたしが全部悪いの、あたしがッ!!
あたしがいなかったらよかったの、あたしなんか[
ピーーー
]ばいいのッ!!!
離して、死なせてッ!!! あたし、死にたいのッ!!!」
そんな…
愕然とし、咲良を押さえている力が一瞬緩んだ。
すぐに我に返り力を込め直したので、振り切られることはなかったのだが。
“死にたい”、それは咲良が初めて口にした願望の言葉。
咲良が暴れた時に発する言葉は、これまでは「[
ピーーー
]ばよかった」という後悔や「死ななければいけない」という義務だった。
このままではいけない、このままでは本当に咲良が死にかねない。
「上野原、お願いだから落ち着いて――」
瑠衣斗の言葉に、ぺしっという乾いた音が重なり、咲良の動きが止まった。
咲良を前方から押さえていた撫子の平手が、咲良の頬を打ったのだ。
「もう、いい加減にしてッ!! どうしてそんなこと言うのッ!!!
私は貴女に生きていてほしいのに、どうして貴女が死にたいなんて言うのッ!!!
貴女のせいじゃないって、悪くないって、何度言えばわかってくれるのッ!!!」
撫子は髪に手を突っ込んでぐしゃぐしゃに掻き回しながら金切り声で叫ぶと、そのまま蹲って小さな子どものように大声を上げて号泣し始めた。
プライドが高くこれまでもずっと強気でい続けてきた撫子がこんなにも感情を露わにしたのを目の当たりにするのは初めてで、瑠衣斗は息を呑んだ。
そしてそれは撫子と最も懇意な間柄である咲良ですら同じだったようで、瑠衣斗が拘束を解いてももう暴れることはなく呆然として撫子を見下ろしていた。
しかし、大人しくなったのも束の間、咲良も再び泣きじゃくり始めた。
「ああ…あたし…最低……っ!
撫子を泣かせて……あたし…あたしやっぱり…生きてたらいけない…ッ!!」
「違うって言ってるじゃないッ!!!」
大声で泣き叫ぶ2人を前に、瑠衣斗は成す術なく頭を抱えた。
もう、どうすればいいのかわからない。
人付き合いの経験値が浅い瑠衣斗にとって、普段泣いているところを見たことがない女子が2人同時に泣いている時に上手く対応する方法など、わかるわけがない。
そもそも、だ。
男である自分がもっとしっかりしていれば、奨は死ななかったのではないだろうか。
奨が今もここにいてくれれば、咲良は泣きながら「死にたい」だなんて言わなかったのではないだろうか。
咲良が元気でいてくれれば、撫子も泣かなかったのではないだろうか。
誰よりも悪いのは、自分ではないのか。
麗が大切に想っている咲良と撫子と奨を、政府から決められたとはいえリーダーとして麗から預かる身となったというのに、責任を全うできていない自分が、全て悪いのではないだろうか――そうに、違いない。
こんなことでは、麗に顔向けできない。
瑠衣斗は頭を抱え、髪をぐしゃっと握り締めた。
「ごめん…城ヶ崎…ごめん…っ」
「もしもーし。
ちょーっとボリューム落とした方が良いんじゃないかな?」
不意に背後から聞こえた声に、瑠衣斗は心臓が止まるのではないかという程驚き、ボウガンを振り返りながら構えた。
「高須…高須ッ!!」
闖入者の存在に気付かず泣き喚く撫子と咲良のうち、武器を所持している撫子を呼んだ(咲良には武器を持たせていない、当然だ、今持たせればそれを自らの命を絶つために使用しかねない)。
撫子は顔を上げて非常事態に気付くと、泣きじゃくりながらも黒光りする自動拳銃ジェリコ941L(これは内藤恒祐(男子十二番)の死後に頂戴した物だ)を構えた。
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