過去ログ - 対木もこ「私と荒川憩のカレーうどん戦争」
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95: ◆cvvZKri7SI[saga sage]
2013/12/13(金) 16:17:32.27 ID:1dwOiOSUo

「……これを返しにきた」

 結局私は元委員長の質問には答えず、持ってきた紙袋を抱える。
 私と元委員長の間には仕切りがあり、そして物を置くスペースがある。
 そのスペースに、紙袋から取り出したタオルを置いた。

「……あ」
「借りっぱなしだったから」

 あの日、事件当日、元委員長から借りたタオルだ。
 すっかり返しそびれていて、元委員長の両親にでも返そうかと思ったところ、中年刑事から連絡があったのだ。
 なので、折角だからこれを理由に面会にきたということである。
 こうでもしないと、面会に来る理由が浮かばかったからだ。

「わざわざそんな……ありがとう」

 そして、これを返すことで、私と元委員長の関係は完全になくなった。

「……え?」

 借りは返した。もう、私がここにいる理由はない。
 裁判にいく必要もない。傍聴席には私は居ないと思ってくれ。
 まぁ、両親くらいは来るだろう。それで十分じゃないか。
 少なくともクラスの連中は、私も含めて誰も行かないだろう。
 行く必要がない。行く義理がない。行く義務もない。
 後日新聞で眼を通すくらいはしてやる。

「そんな……」

 なぁ、元委員長。逆に聞くが、何故私がお前の裁判なんて見なくちゃいけないんだ?

「それは……だって……私が、クラスメイトを、」

 お前にとってはそうかもしれない。
 お前にとっては、被害者はいつまでもずっとクラスメイトだろう。

 でも、私にとっては。
 お前も、被害者も、どちらももう、元クラスメイトなんだよ。
 だから今お前が何をしていようと、生きていようと死んでいようと、それは私には関係のないことなんだ。


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