過去ログ - 対木もこ「私と荒川憩のカレーうどん戦争」
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◆cvvZKri7SI
[saga sage]
2013/12/13(金) 16:17:32.27 ID:1dwOiOSUo
「……これを返しにきた」
結局私は元委員長の質問には答えず、持ってきた紙袋を抱える。
私と元委員長の間には仕切りがあり、そして物を置くスペースがある。
そのスペースに、紙袋から取り出したタオルを置いた。
「……あ」
「借りっぱなしだったから」
あの日、事件当日、元委員長から借りたタオルだ。
すっかり返しそびれていて、元委員長の両親にでも返そうかと思ったところ、中年刑事から連絡があったのだ。
なので、折角だからこれを理由に面会にきたということである。
こうでもしないと、面会に来る理由が浮かばかったからだ。
「わざわざそんな……ありがとう」
そして、これを返すことで、私と元委員長の関係は完全になくなった。
「……え?」
借りは返した。もう、私がここにいる理由はない。
裁判にいく必要もない。傍聴席には私は居ないと思ってくれ。
まぁ、両親くらいは来るだろう。それで十分じゃないか。
少なくともクラスの連中は、私も含めて誰も行かないだろう。
行く必要がない。行く義理がない。行く義務もない。
後日新聞で眼を通すくらいはしてやる。
「そんな……」
なぁ、元委員長。逆に聞くが、何故私がお前の裁判なんて見なくちゃいけないんだ?
「それは……だって……私が、クラスメイトを、」
お前にとってはそうかもしれない。
お前にとっては、被害者はいつまでもずっとクラスメイトだろう。
でも、私にとっては。
お前も、被害者も、どちらももう、元クラスメイトなんだよ。
だから今お前が何をしていようと、生きていようと死んでいようと、それは私には関係のないことなんだ。
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