過去ログ - 戦刃「安価で苗木君を手に入れる」
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182:1 ◆7ml8fVnzpA[saga]
2013/12/15(日) 00:44:10.74 ID:Cmj/kcBEo
苗木「まってよ、二人とも!」
彼にスピードを合わせつつ、園内の人混みの隙間を縫いながら、やがて私達は朝比奈と葉隠に追いついた。人の疎らな園の隅で、朝日奈は一つの看板の前に立ち尽くしていた。
朝日奈「ドッキリハウス、だって。すっごく楽しそうじゃん! ねえねえ、みんなで行こうよ!」
これほど規模の大きい遊園地にドッキリハウスが存在することに、私は些かの疑問をも抱かなかった。
薄気味の悪い顔が先頭で笑うローラーコースターに四人で近付く。一両目に私と苗木、二両目に朝日奈と葉隠が乗り込んだ。敷地の隅にひっそりと立つコースター乗り場には他に客の姿はない。
戦刃「何か書いてある……『ここにあるアイマスクを付けてね』」
苗木「あ、本当だ。座席の裏のカゴにアイマスクが置いてあるよ」
こんな圧倒的な隙を見せるような行為を、普段の私が看過する筈がなかった。しかし、ここは遊園地。戦場を意識する理由など一寸たりとも無いだろうと、そんな浮かれた気分に私は冒されていた。
戦刃「アイマスク、付けたよ」
葉隠「お、コースターが動き出したべ」
苗木「ちょっと待って、方向的に遊園地の外に出ているような」
朝日奈「分かった! 外にでっかいお城みたいなドッキリハウスがあるんだよ!」
戦刃「だといいんだけど……」
変哲のない会話を交わしながら、私の心には謎のくぐもりがあった。ただの予感と言えばそれまでだが、戦場生活で鍛え上げられた勘と同様のものがここでは機能している気がした。
苗木「そろそろ着くかな?」
苗木「戦刃さん?」
戦刃「大丈夫、私はここに」
どうして気付かなかったのだろう。コースターのローラーの擦れる音が、少し弱まっていたことに。いつから彼らと私達は『切り離されて』いたのだろう。
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