過去ログ - 戦刃「安価で苗木君を手に入れる」
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75:1 ◆7ml8fVnzpA
2013/12/12(木) 09:57:58.92 ID:NMMLAhSio
私のすぐ隣で、彼は穏やかな寝息をたてている。間近で見る程、彼の青爽な顔立ちは私の心を惹きつける。まるで昨日のことなど無かったかのように。でも、夢では無いのだ。全て夢だったら、どんなにいいことか。
苗木「んん……おはよう、戦刃さん」
戦刃「おはよう、なえぎく」
苗木「って、えぇえええええ?!」
突然叫びだす彼の姿を前にして、私は狼狽するしかなかった。状況が飲み込めないのは彼とて同じようで、落ち着かない様子で部屋中を眺めている。そんな中、私の僅かな冷静に一つの仮説が生じた。
戦刃「まさか、苗木君……」
苗木「確か、ボクは戦刃さんに連れられて江ノ島さんの別荘に……。それから急に気を失って、気付いたら朝で……どういうこと?」
やはりそうだ。彼は昨晩の彼では無い。私が担いで玄関まで招いた段階での苗木誠なのだ。とは言え、もちろん馬鹿正直に全てを語る訳にはいかない。私は少しずつ、思考を取り戻しつつあった。
戦刃「ここに運んで、苗木君が目覚めるのを待ってた。でも眠くなっちゃって、つい」
苗木「そ、そっか。なんだか、ゴメン……」
私の初の相手はもういない。そう思うと何故か涙が止まらなかった。一体誰に、私は自身の純潔を捧げたのだろう。昨晩の彼は偶像でしかなかったのか。何も分からない。そのことが何かを失ったような心地を私にもたらした。
苗木「戦刃さん? どうして泣いてるの?」
戦刃「ううん、何でもない」
純真ほど人を無意識に深く傷付けることができる感情は他に無いだろう。でも彼は何も知らないのだ。私は誰にこの哀しみを、悔しさをぶつければいいのだろう。
苗木「時間的にマズいなあ……早く学園に戻らないと。戦刃さん、大丈夫?」
あれだけ深く交わったというのに、彼との距離は離れるどころか変わってすらいない。そのことに私は違和感を感じずにはいられなかなかった。このことは、一層私の初めてが無意味に消費されたような気持にさせた。
級友からの追及を予感し既に重い足取りで、私は彼と共に学園へと向かう。
――希望ヶ峰学園・本科生校舎――
苗木「おはよう」
彼が教室に踏み入れるなり真っ先に彼に詰め寄るのは、無論江ノ島盾子だった。あらかじめ彼に言われていた通り、私はドアの裏に身を潜めていた。
江ノ島「おっはよー苗木! 昨日は寄宿舎に戻ってなかったみたいだけど、何かあったの?」
苗木「う、うん……ちょっとね」
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