16: ◆CiplHxdHi6[saga]
2013/12/14(土) 00:11:17.99 ID:g5646tB80
「すぅ……」
「え、えーっと……。どうしよう」
思ってもいなかった展開に少しドギマギしてしまう。彼女はと言うと、幸せな寝息を立てながら、俺の膝に羽のついた頭を預けている。
このまま動いてみようものならベンチに頭をぶつけてしまう。それは可哀想だ。
「あのー。バス来ました、よ?」
「ふにゅぅ」
向こうから排気ガスを吐きながら、えっちらほっちらゆっくりとバスがやって来る。焦る俺と対照的に、彼女は一向に起きようとしない。
バスのドアが開くとお婆ちゃんが降りてくる。お婆ちゃんはこちらを見るとにっこりと笑い歩いていった。どうやら何か勘違いをさせてしまったみたいだ。
「……」
バスの運転手は、おたくら乗るの? と言わんばかりにこっちを見ている。無言のプレッシャーがちょっと痛い。
「あはは、次の奴に乗ります。すみません」
運転手は軽く頭を会釈すると、バスのドアは閉まり遠く小さくなっていく。本当なら彼女を起こすべきなんだろうけど、もう少し彼女の寝顔を見続けていたいと思っていた。
彼女が目覚めたのは、5分ぐらいしてからのことだった。
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