過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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13:aho ◆Ye3lmuJlrA[sage]
2013/12/16(月) 21:43:35.26 ID:pFDECU7w0
「……大丈夫ですよね、きっと」
「心配要らないわよ。元々、危険なことなんて一つもないんだから」

 まゆが去っていった方を気遣わしげに見る歌鈴の隣で、礼子は素っ気なく答えてコーヒーを啜る。

「そもそも心配し過ぎなのよね、まゆちゃんも。小梅ちゃんにしてみたらあんな風に気味悪がられるなんて慣れっこでしょうし、万一知られたとしても、今更殻に籠るほどは傷つかないでしょう。もちろん、怖がらずに受け入れられるならそれに越したことはないけれど」
「そうですねえ……」
「そもそも怖がってること自体は知られてると思うけどね。その、あの子っていうのは、毎晩間近でまゆちゃんを見てるんでしょうし」
「あ……言われてみれば、そうですね」

 歌鈴は今更気づいたように言って、苦笑を漏らした。

「と言うか、考えてみたら当たり前ですね。あんまり常識外れな話だから、私も思考停止しちゃってたかも」
「まあ、仕方ないとは思うわ」
「それはそれとして……なんていうか、意外でした」
「何が?」
「いえ、まゆさんのことなんですけど」

 歌鈴はちょっと首を傾げ、

「あんなに優しい人だったんだなって……ああいえ、プロデューサーさんが絡まなければ親切な人だって言うのは知ってたつもりですけど、その絡んだときのあれやこれやがなんとも言えずあれでしたから、ちょっと怖い人だなっていうイメージが……」
「……情の深い子なのよ。良くも悪くもね」

 礼子は目を細め、コーヒーカップを軽く揺らす。
 幽霊に脅かされているのは自分だというのに、むしろ加害者とも言える小梅の方を心配していたまゆの姿が思い浮かんだ。

「その情が友達への気配りという形で発揮されるなら、美点で済ませられるかもしれないけれど。これが異性に向かうとね……本人なりに節度は守っているようだし、根がおっとりした子だからまだそれほど実害はないと思うけど」
「うーん……あれで大丈夫だと言える礼子さんはやっぱり凄いなあ……これが年の功というものなんですね」
「……歌鈴ちゃん。悪いことは言わないから、瑞樹や早苗や菜々ちゃん辺りと話すときは、もう少し言葉に気を付けた方がいいわよ?」

 しみじみ頷いている歌鈴に、礼子はため息混じりに忠告する。

「まあ、ともかくこれで心配いらないでしょう。あとは吉報を待つばかりね。歌鈴ちゃんも除霊とかさせられなくて良かったわね」
「本当ですよ……って、あれ?」

 ふと、歌鈴が何かに気づいたように眉根を寄せた。

「どうしたの?」
「いえ……あの、礼子さん? もしかして、最初から悪霊とかの仕業じゃないって分かった上で私に除霊しろとか言って煽ってませんでした?」
「ええもちろん。歌鈴ちゃんにそういうことは出来ないっていうのも分かってたわよ」
「えぇー! ひ、酷いですよぅ」
「ふふ、ごめんね?」
「もう……」

 歌鈴はちょっと拗ねたように唇を尖らせが、すぐに笑顔になって、


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