過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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aho
◆Ye3lmuJlrA
[sage]
2013/12/16(月) 21:50:26.12 ID:pFDECU7w0
しばらく泣き続けた小梅が「も、もう大丈夫……」と気恥ずかしそうに言ったので、まゆは黙って体を離した。
小梅はまだ少し赤い顔で、照れたように微笑む。
「な、泣いちゃって、ごめんなさい」
「いいのよ。もう一度言うけれど、本当にありがとう。二人の気持ち、とっても嬉しいわ」
「う、うん。あ、ありがとう、私、たちの気持ち、分かってくれて。私、とっても幸せ……」
小梅が本当に嬉しそうに笑うので、まゆの方も嬉しくなってしまう。
可愛いなあ、と思うのと同時に、少しばかり悔しくもなった。
「えっと……あの子は、今もそこにいるのよね?」
「う、うん……いるよ」
「残念ね……どうして私には見えないのかしら」
心底思いながらそう言うと、小梅はちょっと驚いたように目を丸くして、
「ま、まゆさん……あの子のこと、こ、怖くない?」
「ええ、今はもうちっとも。もちろん、悪いことする幽霊は怖いけれど、あの子みたいな優しい幽霊だったら、少しも怖くないわ」
「よ、良かった……」
「それに、幽霊そのものも、今までより好きになれそう。よく考えてみたら、死んでしまったあとも心が残るって、とっても素敵なことよね」
まゆはうっとりと微笑む。
「まゆ、もし死んでしまったとしても、ずっとプロデューサーさんのそばにいるわ……うふ」
「う、うん……ま、まゆさんと、プロデューサーさんだったら、きっと素敵なゾンビになれると思う……」
「まあ……素敵ね。たとえ肉体が腐り落ちても二人の愛は永遠なんだわ」
「そ、そういうホラー映画、見たことある……」
「本当? じゃあ今度、三人で一緒に見ましょうか」
「う、うん、楽しみ」
二人で笑い合ったあと、まゆは小さくため息を吐く。
「でも、残念ね……」
「ど、どうしたの……?」
「小梅ちゃんとあの子とはこうして通じ合えたのに、プロデューサーさんには私のこの熱い気持ちが少しも伝わらないみたいなの」
「ふしぎだね……」
「ええ、とっても不思議」
壁に貼り付けてあるプロデューサーポスターの一枚を見つめて、まゆは熱っぽい吐息を漏らす。
同じようにプロデューサーのポスターを見ていた小梅が、ふと、またあの子の方を見て何度か頷いた。
「ま、まゆさん……あの子、今回のことで、お、お詫びしたいって、言ってる……」
「お詫び……?」
お詫びならばむしろ自分の方がしたいぐらいだ、というのがまゆの正直な気持ちだったが、そう言ってくれているのに断るのは良くないな、とも思う。
「そう。それじゃあ……ええと、どうしたらいいかしら」
「こ、今度は、川島さんの写真の顔を、プロデューサーに変えようか、って言ってる」
「……ちょっと興味があるけど、遠慮しておこうかしら」
苦笑したあと、不意に名案を思いついて、まゆは「そうだわ」と手を合わせた。
「それじゃあ、あの子に是非手伝ってもらいたいことがあるのだけれど」
「な、なに……?」
「うふ……あのねぇ……」
プロデューサーの写真たちを見つめながら、まゆは甘ったるく微笑んだ。
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