過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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aho
◆Ye3lmuJlrA
[sage]
2013/12/16(月) 21:35:09.39 ID:pFDECU7w0
◆
「最近、心霊現象が続いて夜眠れないんです……」
「心霊現象……」
「ですか……」
テーブルの向かい側に座った高橋礼子が、怪訝そうな表情で一度だけ繰り返した。その隣に座る道明寺歌鈴もまた、反応に困っているような顔でまゆを見返してくる。
仕事や学校帰りの人々で賑わう喫茶店の中なので、三人とも念のため軽く変装している。そのせいもあってまゆは多少厚着だったが、話そうとしている内容のせいか何となく寒さを感じていた。
「心霊現象と言うと、夜中に変な物音がするとかそういうのかしら?」
「それよりももっと怖いことが、毎晩……」
「ま、毎晩ですか……」
歌鈴がごくりと唾を飲む。まゆ同様アイドルであり現役の巫女さんでもある娘だが、だからと言って幽霊の類が平気というわけではないらしい。
一方、礼子の方は年長者らしい落ち着きを崩さず、コーヒーに口をつけつつ冷静な口調で訊いてくる。
「とりあえず、何があったか具体的に話してもらえる?」
「はい……」
事の起こりは、小梅の奇妙な告白を受けてから一週間ほど経過した日のこと。
その日レッスンを終えたまゆは、特に何事もなくアパートの部屋へと帰りついた。プロデューサーを追い掛けてアイドルになるために上京して以降、ずっと一人で住んでいる部屋だ。
事務所に入った当初は女子寮を勧められたのだが、断った。一人住まいの方が、いろいろと都合が良かったからである。
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