過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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20:aho ◆Ye3lmuJlrA[sage]
2013/12/16(月) 21:51:06.41 ID:pFDECU7w0
 ◆

「プロデューサーさん♪」

 人通りの多い休日の昼下がり、突然街中で後ろから声をかけられ、ぎくりとする。
 おそるおそる振り返ると、そこに見慣れない女の子が立っていた。
 プロデューサーは一瞬怪訝に思ったが、よくよく見るとそれは入念にほどこされた変装であり、その少女は間違いなく佐久間まゆその人であった。
 嫌な予感、的中。ため息を吐きたくなるのを、何とか我慢する。

「やあ、まゆか。休日にこんなところで会うとは偶然だな」
「運命ですねぇ……」
「……偶然だな」

 いつも通りとろけそうな甘い微笑と共に言うまゆの言葉を、ひきつった微笑みで受け流す。
 正直な気持ちを言えば「じゃあ用事があるんでこれで」と言って別れたいところだったが、そうする前にまゆがすすっと身を寄せてきた。

「お、おい、まゆ」
「大丈夫ですよぉ。変装は完璧ですから。ねぇ?」
「まあ、それは認めるが……」
「これならご一緒しても大丈夫ですよねぇ」
「いや、それは……」

 どう答えたものか、プロデューサーは答えに窮してしまう。
 何故かは知らないがプロデューサーを深すぎるぐらいに好いてくれているこの佐久間まゆという少女は、彼自身が担当しているアイドルでもある。
 仕事のときはともかく、休日にまで一緒にいるところを見られでもしたら物凄くまずいのだ。

「大丈夫ですよぉ。まゆ、そんなにベタベタくっついたりしませんから。本当はずっとそうしていたいですけどぉ」
「いや、そういう問題じゃなくってな」
「プロデューサーさん」

 まゆが、ちょっと真剣な口調で言う。

「まゆ、今とっても嬉しいんですよ? こうして出会えたのは本当に偶然ですから、運命を感じちゃうんです」
「偶然……なあ、本当に偶然なのか?」
「まぁ」

 と、まゆはわざとらしいぐらい大袈裟に驚いてみせる。

「偶然じゃなかったらなんだって仰るんですか?」
「なんだ、って、そりゃ……」

 盗聴とか、発信機とか。
 そんな物騒な単語が瞬時に思い浮かんだが、理性がそれを否定した。
 何故かと言うと、プロデューサーはまゆが実際にそういうことをやりかねないと危惧しているので、当然対策を行っているのだ。
 具体的には、早苗にいろいろ手口を聞いたり晶葉に対策用品を作ってもらったりして、毎日何度もチェックしている。
 だからそういう物を仕掛けられていればすぐ分かるし、もちろん今日もそういう兆候は一切見られなかったからこそ、安心して街へ出てきたのだ。
 そうなると、残る可能性は一つだが。


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