過去ログ - 佐久間まゆ「いつもあの子がそばにいる」
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4:aho ◆Ye3lmuJlrA[sage]
2013/12/16(月) 21:35:54.74 ID:pFDECU7w0
「ただいま帰りましたぁ」

 いつも通りにそう呟きながら玄関のドアを開けると、リビングに続く廊下の壁と天井一面に隙間なく貼られたプロデューサーの写真と自作ポスターの数々が出迎えてくれた。
 残念ながら目線がこちらを向いている写真は極少数だが、まゆとしてはそれでも十分満足である。写真越しにプロデューサーの存在を感じて陶然とした気分に浸りながら、ゆっくりとリビングに向かう。
 いちいち説明するまでもないことだが、リビングの壁と天井もプロデューサーの写真とポスターで一杯だ。常に想い人の存在を意識しながら生活出来る最高の部屋なのだ。
 ちなみに、部屋も廊下も壁の上に壁紙が備え付けられていて、必要なときは短時間で何の変哲もないアパートの一室に偽装できる仕組みである。
 プロデューサーを独占したいが故に部屋に他人を招き入れるつもりは毛頭ないが、宅配便の配達員などに見られて妙な噂が立ってしまったら困る。
 全身全霊でプロデューサーを愛しつつも迷惑がかかることは絶対に避ける、というのがアイドルとしてのまゆの基本姿勢なのだった。

「うふ……やっぱりプロデューサーさんは素敵ですねぇ……」

 プロデューサーだらけの部屋の真ん中に座って、しばしの間うっとりと夢の世界に遊ぶ。
 まゆは元々運動が不得意で、アイドルの厳しいレッスンについていくのはなかなか大変だったが、こうしているだけで一日の疲れなどきれいさっぱり消えてしまう。
 いわゆる愛の力というやつだ。
 そうしてすっかり疲れが取れてから、まゆはおもむろに服を脱ぎ始める。プロデューサーに満たされた部屋の中で一枚一枚と衣服を取り去りっていくにつれて、体が少しずつ火照ってくる。そうして生まれたままの姿になると、熱っぽい吐息を漏らしながら浴室へと向かう。
 いわゆる予行練習というやつだ。
 シャワーを浴びて身を清め、フリルをあしらったお気に入りのパジャマに着替えると、まゆはリビングに戻ってくる。
 棚にいくつか置いてある、合法的に手に入れたプロデューサーの使用済みマグカップを一つ取り出し紅茶を淹れて、ベッドに腰を下ろした。自作のプロデューサーぬいぐるみと人形に囲まれながら、スマートフォンにヘッドフォンを挿入して耳に着ける。
 慣れた手つきで操作を行うと、しばらくして音声が流れだした。

『お疲れさま、まゆ』
「うふ……♪」

 思わず笑みが零れてしまう。


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