14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/19(木) 00:38:58.61 ID:9mtCTMIXo
「僕は摩耶花と付き合い始めてから、『こだわり』についてもう一度考え直したんだ。中学の頃は『こだわる』ことに執着した。高校に入学から摩耶花と付き合うまでの間は『こだわらない』ことにこだわった。
そして、摩耶花と付き合ってからは、その中間点を見つけたかったんだ。だってそれまで両極端だったからさ。
だけどね。これはホータローにも言われたことだけど、僕はその手のことは不器用なんだ。なかなかバランス調整がうまくいかない。高校を卒業して、大学に入ってからもずっとそうだった。胸を張って言うことじゃないけど、今もそうだ。
大学を卒業してからも、自分でも妙な『こだわり』を抱くせいで、仕事を転々としているんだ。きつい仕事から目を逸らして、やりがいや楽しさを求めてしまうんだ。困ったことだよ、本当に無職ってやつはさ。履歴書はもう書きたくない。
それに白状すると、実は今日ここに来たのは生活が苦しいからお金を借りに来ることが目的だったんだ。我ながら情けない話だよ。一緒に住んでくれてる摩耶花にも申し訳が立たない」
里志は悲しげな笑みを浮かべながらひとしきり語ってくれた。小柄な里志の体がより小さく見える気がする。俺には理解できないような苦悩をその体に抱え続けてきたんだろう。里志もなかなか苦労している。
しかし、このままでは里志らしくない。
俺は俯く里志を見つめながら言った。
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