過去ログ - 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」【佐城雪美】
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[saga]
2013/12/20(金) 22:15:33.34 ID:NFA4OfSv0
ベッドで毛づくろいするペロに近づき、顔を寄せるようにして、ぷぅっと頬を膨らませる。
「ペロ……じぶんが会いたいだけ。……ずるい」
ペロが慌てて顔を上げると、首を左右にぶんぶん振った。
「ちがう……ほんと?」
縦にぶんぶん。
「……ん。分かった……着替えるから……ちょっと、待って」
着替えを済ませて、ペロと一緒に部屋を出る。
居間で朝ごはんを食べてる間、ママは向かいの席に座って、私の顔をじっと見てた。
「顔に……なにか、ついてる?」
「ううん……なんでもないわ」
でも、ママ、とっても嬉しそう。
隣の椅子で丸まったペロも、ご機嫌な様子でなうなう鳴いてる。
朝ごはんを食べ終えて、ペロと一緒にお出かけ。
駅に向かう道の途中で、ランドセルを背負った子たちとすれ違う。
私は顔を伏せて、誰とも目を合わさないようにして歩いた。
腕の中のペロが、私を慰めるみたいににゃうにゃうって声を上げてくれる。
「ありがとう……」
電車に乗ると、たくさんの人たちが、私たちのことを横目でちらちらと見てきた。
視線が怖くて、私は自分を守るみたいに背中を丸めて、ペロを抱く手に力を込めた。
雑誌の撮影をしてた時だって、大勢の知らない人たちが、私を見てた。
あの時は、どうして平気でいられたのか……思い出せない。
どうやって、アイドルをしてたのかも……。
目的のCDショップは、事務所の近く。
駅の改札を抜けた後、私は記憶を頼りに一歩を踏み出す。
そこからは、目に映るぜんぶが懐かしくて……なんだか、ふわふわした夢の世界にいるみたい。
急にペロが暴れて、私の手からするりと抜けて、きれいに地面に着地。
道案内をするみたいに、私の少し先を、急ぐでもなく歩き出す。
「私と、ペロと、プロデューサーで……いっしょに、お散歩したね」
心があったかくなる、そんな景色を思い出した。
「また、いっしょに……」
その時、木々の隙間から射す太陽の光に目がくらんで、言葉が途切れた。
前を行くペロの姿が、白い光に滲んで……慌てて駆け出す。
「……待って」
呼び止めるまでもなく、ペロはすぐそこで、行儀よくお座りしてた。
私はペロを抱き上げ、頬をすり合わせる。
「……おいていかないで」
なあおう。
寂しげに鳴くペロが、私の頬を舐めた。
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