過去ログ - 【モバマス】「こんなにも幸せな傷あと」【佐城雪美】
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/20(金) 22:25:13.27 ID:NFA4OfSv0
「なに……言ってるの?」

 今日のプロデューサー……おかしい。

「……到着だ」

 顔を上げると……周りを木に囲まれた、広い場所。

 私……ここ、知ってた。

 敷地の中央に細長い建物があって……。

 その奥に、たくさんの……お墓が並んでた。

「……ぁ……」

 私の目が……自然と、見開かれていって……。

 隣の席のプロデューサーが、私の手を握ってくれる。

「雪美、お前が苦しみ続けてきたのに……助けてやれなくて、本当にすまない」

 いま……ペロの声、私の頭の中に響いてる。

 苦しい、痛いよ、助けてって……。

「もしかすると、俺はただ、雪美の逃げ場所を奪っているだけなのかもしれない。だが……」

 プロデューサーが、懐から……お手紙、取り出した。

 毎朝、ペロがくれたのと……同じ色と形をした、お手紙。

「苦しんでるのは、ペロじゃない。その悲鳴は、雪美自身の叫びだ」

『ゆきみへ。

 どうか、もう、くるしまないで』

 震える指がお手紙を落として……膝の上に。

 そこには……黒猫の……ぬいぐるみが、あった。

 それはもう……声を上げないし……私のために鳴くこともなかった。

『雪美ちゃんは、泣きたくなるほど、後悔したことってありますか?』

 幸子さんの声がふっと聞こえた。

 私は……ペロだったはずのものを、まばたきもせずに見つめたまま。

 忘れようとしていたこと……ぜんぶ、思い出す。

「ペロに……さよならを言えなかった」


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