5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/12/22(日) 00:42:34.97 ID:qtRiBSuyo
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そろそろ店じまいだな、と夕暮れも終わりそうな程ほどの薄暗さが出てきた午後7時。
雑貨屋という名の駄菓子屋を営む加賀山楓にとって店じまいのタイミングはおおよそ夕食の時刻だ。
何故なら、主な駄菓子屋としての客層はこの村の唯一の学生達であるため、それらが家に帰れば店を閉めるのは当然であり、合理的な判断なのだ。
「……」
「おっ、いらっしゃい」
どうしたら金持ちになれるだろうか……と毎日のように考えている妄想も一段落ついたその時の事。
音も立てずにぬっと男が入ってきた。まぁ、初対面ならまだしも、その男の事はよく知っていたので特に何の反応もせずに対応できたのだが……。
ただ、よく知ってはいたのだが、その中で気になったのが1人で来たという事だ。いつも来る時は大抵誰かの付き添いで、1人で来る事など長年の記憶の中でもあったかどうかを思いだせなかった。
「今日は一人か?」
「……」
男はその問いに、コクリと静かに頷く。
相変わらず物静かな奴だなぁ……何考えてるか分からんし……と、珍しい来客に肘をつき、手を支えに頭を傾けながら思い耽る。
そして、その対象はというと、そんな事はおかまいなしに、店に来たにも関わらず何も物色する事無くただその場に佇んでいた。
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