13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/21(土) 21:45:28.98 ID:YZI5cFkOo
「あのさ、自分で言うのも何だけど」 彼が突然語りだした。「こんな怪しい車によく乗り込んできたね。それも、なんの躊躇いもなく」
「家に帰れなくて困っていたのは事実だったからね」 ボクは正面を向いたまま言った。
雨の影響で道路はいつも以上に渋滞している。この調子だと、家に着くにはまだ時間がかかりそうだ。
もっとも、この人が本当に家まで送ってくれるなら、だけれど。
「それに、非日常だったから」 ボクはそう付け足した。
「非日常?」
「そう。もし何らかのトラブルに巻き込まれたとしても、それはそれで非日常を楽しめるのかもしれないし」
「日常は、嫌いか?」 彼は小さく笑った後、そう尋ねた。
「どうだろう。でも、ボクが求めているのはフツウとは違う日常なのかもしれない」
会話はそこで途切れ、耳に残るのはまた車の駆動音だけになった。
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