過去ログ - 翔太郎「魔戒騎士?」フィリップ「ゾクゾクするねぇ」
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258: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/01/10(金) 01:58:57.94 ID:L41XiSL/O

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鋼牙「どういうコトだ……血に染まりし者が、自ら歩みを止めているなんて聞いたコトがないぞ」

ザルバ『コイツ、一体どんな力を使ったんだ?』


冴島鋼牙が見下ろす先には、翔太郎が座り込んでいた。
正しくは自分の身体から離れた翔太郎の魂だけど。
血に染まりし者は100日目になると、魂がこの紅蓮の森を通り、中にある黄泉の入り口へと向かうのだ。


僕らはホラーをなんとか振り撒き、その途中の翔太郎を見付けるコトが出来た。
というより、彼が待ってくれていたのだ。
僕も検索していたから、その行動がどれだけ有り得ないコトか分かっている。
奇跡と呼んでもいいだろう。


でもそんなコトに驚いている時間さえ惜しい。
僕はすぐさま座っている翔太郎に手を差し伸べた。
だが彼は、僕の手をぼんやりと見るだけだった。
その顔は表情が薄いが、明らかに困惑している。
ここまで弱々しい顔は、初めて見たかもしれない。


サイクロン『……』


僕は意を決し、ドライバーに手を掛けた。
冴島鋼牙がはっとした顔で僕を見る。
しかしそれを無視して、僕は変身を解いた。


ザルバ『な、何考えてるんだお前!?』

鋼牙「ザルバ、うるさいぞ」

ザルバ『だが鋼牙、いくら辺りにホラーがいないからと言って、変身を解くのは……!!』

鋼牙「何のために俺たちがいる」

ザルバ『うぅ……しかし…………』


何か向こうは揉めているが、知ったこっちゃない。
僕はもう一度、手を差し伸べた。
翔太郎の足を抱える腕が少しだけ緩んだのが見えたが、やはり彼は僕が差し伸べた手を握り返すことは出来なかった。


翔太郎「フィリップ……俺……あそこへ行きたいんだ」


翔太郎はそう言った。
あそこ、とは翔太郎の向かいにある黄泉の入口のコトだろう。
あの入口までの距離はここから10mもない。
そんな直前の場所で、翔太郎はずっと踏みとどまっていたのだ。


翔太郎「あそこに行ったら……楽になれる……今まであった辛いことも……思い出すと胸が痛くて堪らなくなることも……さっきまであった気が狂うような痛みも……全部忘れられる……」


夢現のような口調でそう言う翔太郎。
表情は読めない。
しかし、次に口を開いた時、無感情だった彼の顔色が変わった。


翔太郎「でも……あそこへ行きたいハズなのに……なんで俺……こんなコトしてんだろ……」


そこでようやく、翔太郎と目が合った。
彼の目には小さな、しかし確かな光が宿っていた。


フィリップ「それはね、翔太郎。君が信じているからだよ」

翔太郎「……俺が?」

フィリップ「そう。大きな苦しみや深い悲しみを人が乗り越えた時、より強い喜びや幸せがやってくることを、そんな未来が訪れることを、人がそこへ進めることを、君が誰よりも信じているから」

フィリップ「だから自分のタメだけでなく、他人のタメでも命を掛けてまで頑張ることが出来る。それが君だよ、翔太郎」


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