過去ログ - 翔太郎「魔戒騎士?」フィリップ「ゾクゾクするねぇ」
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◆NrFF2h.q26
[saga]
2014/01/17(金) 03:10:09.71 ID:qJPfrcSkO
屋敷を出て、街の中を歩く。
身を竦ませる真冬の肌寒い風だが、澄んだ冷たさには不思議と不快感が起きない。
そこかしこにある風力発電の風車がくるくると回っている光景は、カオルが見たら面白いと喜ぶだろう。
翼「鋼牙、どこへ?」
鋼牙「お前は昼の見回りか」
翼「あぁ、陰我自体が完全にこの街から消滅したワケではないからな。当分は管轄を続ける」
街で出会った翼は手に紙袋を持っていた。
思わず目を手元に向けると、いつもの険しい顔を少し緩め、翼は袋をついとこちらに掲げて見せてきた。
翼「さっき和菓子屋の前を通ったら貰ったんだ。前に《アイツら》といるところを見かけていたらしく、知り合いならとサービスしてくれた」
ゴルバ『鈴たちも喜ぶじゃろう。大福は好物じゃったからのう』
ザルバ『ほう。随分と顔が利くもんだなぁ、《アイツら》は』
翼は軽く笑みを浮かべると、俺を見た。
翼「間岱にこもっていた頃の俺なら、きっとはなから相手にしなかった。昔のお前もそんな人間だったのだろう?」
鋼牙「……」
翼「あんな守りし者もいるのだな」
街を吹き抜ける風を見るように、翼はしみじみとどこかを見上げ、去って行ってしまった。
ザルバ『なんだか黄昏れてるな、翼のヤツ』
不思議そうに言うザルバの声を受け流し、尚も街を歩いていく。
人の喧騒を乗せ、絶えず空気が流れていく。
今まで数々の街を流浪としてきたが、こんな風に人々の活気に包まれているような気持ちになったのは、初めての感覚だ。
零「なになにー?黄昏れてんじゃん鋼牙!」
突然ヒョイっと軽快な音をさせて、視界に零の涼やかな笑顔が広がった。
目を白黒とさせていると、その横に紅い革ジャンにしかめっ面の男が顔を覗かせている。
ザルバ『ははは、これで翼もいれば、しかめっ面堅物トリオだったな』
照井「……」
零「ん?俺たちが何をしてたかって?照井竜警視と街の巡回です!サーイエッサー!」
照井「何故か大量のケーキを買わされたんだが」
零「巡回手伝いの謝礼ってことで経費で落ちるよね!」
照井「……餞別代わりだ。今回だけだぞ」
鋼牙「俺たちが発つことを聞いているのか」
照井「あぁ。……《アイツら》なら、風都タワーにいる」
ザルバ『どーも。ありがとよ』
零「竜、次ここのケーキ買ってよ!Bell equipe ASAKAWAka!この街一番のケーキ屋さんを見過ごすワケにはいかないっしょー!」グイグイ
照井「……」ズルズル
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